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YPOB中藤毅彦が、第24回林忠彦賞を受賞 その3

“ いちばん最初に購入したのは橋口譲二の写真集『17歳』でした。― 中藤毅彦 ”

橋口譲二(写真家)による中藤への祝辞は、会場に出席していた人の胸を打つものでした。これからYPを目指す方、YP世代を卒業した方にご紹介したく、橋口氏の許可をいただいて一部掲載させていただきます。

橋口 「中藤さん、この度の受賞、おめでとうございます。以前、中藤さんから送られてきた粒子の粗い写真集を見て、長い時間、どうしてあげるべきか?を考えた末、自分が作品を発表した場、つまり展示の場をことごとく紹介することにしました。それが何らかの後押しになったのであれば、とても嬉しいことです。実は、中藤さんだけにそうしてあげたわけではなかったのですが、(写真家として)残った人は少なく、残らなかった彼らに力がなかったわけでは決してない、とも思うのです。この受賞は、中藤さん本人の力、そしてひたすら街を歩き精進した結果だと思っています。(受賞した写真集)『STREET RAMBLER』のページを繰っていたら息が苦しくなってしまいました。それは、呼吸をするのを忘れていたからなんですよね。」

林忠彦賞を受賞した中藤毅彦の写真集『STREET RAMBLER』

林忠彦賞を受賞した中藤毅彦の写真集『STREET RAMBLER』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橋口 「ストリートを撮影する人はたくさんいますけれども、中藤さんは、人にも風景にもポジティブに向き合っている。それが中藤ワールドなのだと思います。コツコツ写真をやっているたくさんの人の中には、自分にはチャンスがない、と感じている人もあるかもしれない。そんな彼らも、中藤さんの受賞に勇気づけられ、一緒に生きられるのではないでしょうか。中藤さんに、今回の審査委員長は誰かと尋ねたら「細江さんです」という力強い返事がありました。僕が海外で目にするのは、森山、荒木、石内、彼らはスーパースターで、プリントもよく売れているという事実。でも、そういう作品を買っている人々に僕が必ず聞かれることがあるのです。「Mr.Hosoeのプリントを、君は見たことがあるか?」と。西洋における認識の中に、常にHosoeが居ます。畏敬の念をもたれている別格の写真家として。林忠彦賞において中藤の写真をHosoeが選んだ、ということは、きっと彼の人生の大きな支えになっていくでしょう。」                                                                                                                                                                                                                                                                                                               その4につづく

 

 

YPOB中藤毅彦が、第24回林忠彦賞を受賞 その2

この度の受賞式で中藤毅彦が語った言葉を、一部抜粋してご紹介します。
中藤「今でもシャッターを押すときには心臓が飛び出しそうになります。相手の反応がわからないし、どう撮れているのかもわかりません。肖像権の問題でスナップがとりにくい昨今ですが、予期せぬ人や出来事、風景との偶然の出遭いが、写真の一番の面白さであり、豊かさだと思っています。林忠彦賞をスナップの先輩である山内道雄氏(第20回)につづいて受賞できたことはとても光栄です。構想3年、しかし実際には二か月という短期間で『STREET RAMBLER』を仕上げてくれたデザイナーにも感謝しています」

当館の「原点を、永遠に。」展にトーク出演中の中藤毅彦

当館の「原点を、永遠に。」展にトーク出演中の中藤毅彦

 

 

 

 

 

 

 

 

YPを卒業した作家=YPOBとして、林忠彦賞の受賞は、第21回に『東京|天空樹』で受賞した佐藤信太郎につづき二人目です。様々な場でYPOBが高く評価されることを、K・MoPAとしても嬉しく思います。                                                    その3につづく

YPOB中藤毅彦が、第24回林忠彦賞を受賞 その1

1999~2005年まで、当館のヤング・ポートフォリオ(YP)で67点を収蔵した中藤毅彦(1970)が、写真集『STREET RAMBLER』にて第24回林忠彦賞(主催:山口県周南市/周南市文化振興財団)を受賞。去る4/17(金)に授賞式が行われました。強いコントラスト、粒子の粗い作風で知られる中藤が、冷戦後の東西の都市を彷徨、ハバナ、ニューヨーク、モスクワ、上海、パリ、ベルリン、東京などの各都市を2002年から2014年に渡り撮影。中藤の集大成ともいえる作品群です。審査委員の大石芳野氏は「都市のスナップには、街自身に呑み込まれてしまい、作者の思いが見えにくいことが多い。しかしこの作品には、中藤自身の思いが写り込んでいる」と授賞式でスピーチされました。

K・MoPAは、過去にYPを通して作品を購入し、現在は応募上限の35歳を超えた=卒業した写真家をYPOBと呼んでいます。今回は、同賞の授賞式で出会った方々のそれぞれのコメントなどを、4回にわけてご紹介します。                                         その2につづく

授賞式の中藤毅彦(右)

授賞式の中藤毅彦(右)        (c)有元伸也

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