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2008年 第十四回
ヤング・ポートフォリオ

Young Portfolio Acquisitions 2008


2008年度ヤング・ポートフォリオ展
Young Portfolio Acquisitions 2008

選考委員 本橋成一、十文字美信、
細江英公(館長)
作品募集
期間
2008年4月15日~30日
応募者総数 456名(世界33カ国より)
応募総点数 6281枚
購入者数 39名(国内21名・海外18名)
購入点数 286枚
展覧会 2009年2月21日(土)~6月28日(日)

[開催趣旨]


 第14回目となる2008年度ヤング・ポートフォリオには、33カ国から456名、6281枚の応募があり、08年度選考委員・本橋成一氏、十文字美信氏、細江英公(館長)により、39名(国内21名・海外18名)による286枚が、当館のパーマネント・コレクションとして購入する作品に選ばれました。本展ではそのすべてを展示いたします。
  20-30代の作品は、やがて後年になれば作家の初期作品と呼ばれ、作家の原点として、背骨のように身体全体を支える重要な存在となります。ヤング・ポートフォリオは、作品を購入することによって若い写真家を支援する活動ですが、同時に、美術館としてそれぞれの写真家の初期作品を収集・保存する活動でもあるのです。購入は、一度きりではなく、35歳まで何度でも行い、私たちは、彼らが好奇心の糸をつむぎだし、点から線へと繋がって行く様を、作品を通して見まもって行きたいと思っています。
 2008年度は、アジアの写真大国のひとつ、バングラデシュから多くの応募がありました。この国の若者の写真表現に対する熱意には、まさに爆発的なものがあります。また、本展には、日本、韓国、アメリカ、メキシコ、ポーランドなど、それぞれの国において濃密な"生"と対峙する彼らの生き様、戦いの絶えない世界への苛立ち、それぞれの社会がかかえる複雑な問題を自分なりに考察しようとする意欲など、批評的なメディアとしての写真や造形思考の核としての写真など、さまざまに異なる性格の作品が存在しています。写真表現に託した現代に生きる若者の強い思いを感じていただければ幸いです。



本展図録に掲載のアーティスト・ステートメントより抜粋
●G.M.B. AKASH 「BORN TO WORK (CHILD LABOUR IN BANGLADESH)」他
 国連児童基金(ユニセフ)の報告によると、バングラデシュでは14歳以下の児童630万人が働いている。多くの場合労働環境は劣悪で、なかには生命の危険にさらされている子もある。

 誰もがこのことを知っていて、長い間誰も気にかけなかった。写真を撮影することによって、わたしは児童労働の問題を人々に突きつけたい。そして人々がこの問題を考えるきっかけにしたい。子供たちが雇われ、働かされているバングラデシュでも、そして子供たちの手で作られた製品が売られている西欧世界の豊かな国々でも。

 我が国の有力者の中には、わたしがバンクラデシュの悪いイメージを世に広めるのを快く思わないひとがいる。
しかしそれはわたしの意図とは異なる。わたしの意図は、状況を改善するきっかけを作ることにある。働く子供たちの置かれた状況を多くのひとに見てもらうことには、たんにショックを与えて対応策を引き出そうとする以上の意味がある。貧しいがために子供たちをやむなく働かせている親たち、そして工場の経営者、西欧の消費者の考え方を変えるきっかけにもなりうる。

●ティム・ギャロ「Girl of My Own」他
東京への愛は私の胸を焦がし、私が写真に描いた物語のすべては、水族館を思わせるこの都会でわたしが感じたことを表現するものとなるだろう。

●平井 茂「Dear Life ~Living with AIDS in Cambodia」他
やせ細った体で私の手を握り、カメラを構えろと言ってくれた老婆。家に招いてくれ、私たちの生活を伝えてくれと言ってくれた家族。多くの人々のそのまなざしに背中を押されるように、堰を切るようにシャッターを押し続けた。

●中山 克「香港製(Made in Hong Kong)」他
体感した総ての明暗を、薄っぺらな紙キレに定着してしまう「写真術」そのものが、僕には衝撃的でならない。

●内倉真一郎「Parasite」
ただひたすらに撮ってしまえ
何も考えるな
僕の目の前に飛び込んできた被写体達は
僕が何者かさえ忘れさせていた
それは確かに生きている



エリック(イギリス)
「中国好運」 2007年
ERIC



デバシシュ・ショム(バングラデシュ)
「Holi in Old Dhaka」 2008年
Debasish SHOM



増永 泰幸
「闇が触れる」 2008年
MASUNAGA Hiroyuki



オ・ソククン(韓国)
「The Text Book (Chulsoo N'Younghee) cover page
(Rock, Scissors, Paper)」 2006年
OH Sukkuhn


チョン・ミンス(韓国)
「Flowers」 2007年
JUN Minsoo



中山 克
「香港製(Made In Hong Kong)」 2006年
NAKAYAMA Katsu



G.M.B.アカシュ(バングラデシュ)
「BORN TO WORK (CHILD LABOUR IN
BANGLADESH)」 2008年
G.M.B.AKASH



アンドルー・ビラジ(バングラデシュ)
「Climate Refugees」 2007年
Andrew BIRAJ

★「2008年度ヤング・ポートフォリオ」図録(作家略歴、アーティスト・ステートメントを収録) 1500円(税込み)(ミュージアム・ショップ、オンライン・ショッピングにて取り扱っております)
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2008年度ヤング・ポートフォリオ購入作家名一覧
39名のうち、16名はこれまでにも過去のヤング・ポートフォリオにおいて作品を購入しています。
選考委員は毎年替わりますが、例年、購入作家の多くが継続して作品を制作していく力のある作家が選ばれています。

2008年度購入作家名一覧

G.M.B.アカシュ(バングラデシュ、1977-) モニルル・アラム(バングラデシュ、1975-) 別府 笑(日本、1982-)
アンドルー・ビラジ(バングラデシュ、1982-) ファビアーノ・ブスドラギ(イタリア、1980-) シーマ・デュベイ(インド、1975-)
エリック(イギリス、1976-) 船木菜穂子 日本 1981- ティム・ギャロ(ロシア、1984-)
秦 雅則(日本、1983-) 平井 茂(日本、1973-) サウス・ホー(中国、1984-)
堀内陽子(日本、1973-) 池田啓介(日本、1976-) 今枝 勲(日本、1985-)
スティーヴン・ジャーヴィス(イギリス、1978-) チョン・ミンス(韓国、1975-) カルロス・フラド(メキシコ、1979-)
S.M.カコン(バングラデシュ、1978-) 亀山 亮(日本、1976-) 小島康敬(日本、1977-)
久野武志(日本、1974-) アル・ラプコフスキー(ラトヴィア、1981-) 増永泰幸(日本、1973-)
ラファル・ミラフ(ポーランド、1978-) 中山 克(日本、1973-) オ・ソククン(韓国、1979-)
岡原功祐(日本、1980-) 新 拓生(日本、1981-) デバシシュ・ショム(バングラデシュ、1979-)
高木忠智(日本、1977-) 田代一倫(日本、1980-) 寺本早織(日本、1974-)
内倉真一郎(日本、1981-) 内野雅文(日本、1973-2008)★ ムネム・ワシフ(バングラデシュ、1983-)
エヴァンズ・ウィッテンバーグ(アメリカ、1981-) 矢吹健巳(日本、1982-) 山内 浩(日本、1974-)
★内野雅文氏は、2007年12月31日に京都・八坂神社にて撮影中に倒れ、翌2008年1月1日急性心不全にて急逝されました。享年34歳でした。2008年度の応募が最後の「ヤング・ポートフォリオ」になると、京都での作品制作に集中していた矢先でした。当館では、1997年度ヤング・ポートフォリオから2008年までの12年間ほぼ連続して内野氏の作品を購入しており、その合計枚数は54枚となります。謹んで心からご冥福をお祈りいたしますとともに、本展では、遺作となった「KYOTO」16枚を展示いたします。


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