●額装ワークショップ(2012年12月8日午後1時〜4時)

昨年に引き続き今年も額装ワークショップを行いました。参加者の方には、お持ちいただいたお好きな版画にマットをつけたり、参加者のお一人は先日のプラチナ・プリント・ワークショップにて手作りしたご自身のプリントにマットをつけられました。大切な作品に最高の晴れ着を着せる気持ちで、カッターを慎重に動かして・・・あとはお気に入りの額に入れるだけですね。



 

●プラチナ・プリント・ワークショップ(2012年12月1,2日)

2012年12月1日、2日で恒例のプラチナ・プリント・ワークショップを開催いたしました。1日目の午前中は、当館所蔵のプラチナ・プリント作品について館長・細江英公のレクチャーを行いました。午後からは館内のスタジオにて4×5カメラによる撮影を行い、ネガ作り。そして、プリント技法のプロセスのデモンストレーション。2日目は実際に、印画紙にプラチナ乳剤を塗布、露光、現像、水洗、乾燥までを体験していただきました。出来上がったプリントは4枚。永遠に残る画像が出来上がりました!写真の原点、手作りの感動と美しいプリントのできばえにご満足いただけましたでしょうか。

 

 

 


Facebookで、ERIC×大竹昭子 トークの連載を始めました!

2012年10月6日(土)午後2時〜、東京都千代田区一番町のJCIIフォトサロン6階で当館主催のイベントを開催しました。
これは12月24日(月・祝)まで開催中の「Flash! Flash! Flash!」展の展覧会作家でありYP作家でもあるERICと、大竹昭子氏のトーク・セッション。

デビュー作からずっとERICに注目していた、文筆家で写真家でもある大竹昭子さんが対談中に明らかにしてくださったのはERICの作品に潜む「謎」。まさに圧巻の2時間のダイジェストをFacebookにて連載中です。

FacebookのK・MoPAページには、簡単にアクセスできます!
下記よりどうぞ!
www.facebook.com/kmopa


     ERIC(向って右)と大竹氏

当館は、これからもFacebookで“旬”な情報を日々お送りしてまいります。

文責:広報主任・小川直美、広報・前島孝一/写真:学芸員・田村泰男


宇宙に他の生命体はいるか?
K・MoPAで星を見る会  2012・晩秋

 2012年11月17月(土)17:00〜19:00、三鷹にある国立天文台水沢VLBI観測所・助教で天文学者の梅本智文先生を講師にお招きし、毎年恒例で15回目を数える「K・MoPAで星を見る会」を開催しました。


       講師の梅本智文先生

当日は折からの前線の接近に伴い、あいにくの雨夜空となってしまいました。その影響で当初は定員を超えるお申し込みをいただいていましたが、残念ながら6割の方がキャンセルでした。しかし、お足もとの悪い中、近隣を中心に7名のお客様にお越しいただきました。星の観望に代わり、梅本先生から「宇宙に他の生命体はいるか?」と題し、宇宙の"ハビタブル ゾーン"に関するご講演をしていただきました。


 お話の始まりです。壁面にプロジェクターの映像を投影しました

宇宙の始原から様々な天体まで、最新の研究成果が反映され、豊富なCG映像も駆使したお話は非常に興味深く、あっという間に時間が過ぎました。参加者からの質問コーナーでは、皆さんが日ごろ宇宙について疑問に感じている事が次々に繰り出されました。梅本先生は、その一つ一つを丁寧に解説くださいました。また、実際の星空は見られませんでしたが、晴れていたらこう見えるという疑似観望も楽しみました。宇宙の壮大さ、地球が希有な存在である事、その大切さに思いを馳せた一時となりました。


 見えないけれど雨雲の上には今こんな星空が!


文責:前島孝一/写真:学芸員補 野嵜雄一


「Flash! Flash! Flash!」展がもっと楽しめる! 特別な丸型パンフレットを差し上げています

開催中の「Flash! Flash! Flash!」展(12月24日[月・祝]まで開催)に来場された方に、円形にデザインされた特別パンフをもれなく差し上げています。パンフレットは9つのQ&Aで展示のキーポイントを紹介。お客様からは、展覧会の内容が良くわかり、じっくり楽しめたとご好評いただいております。扇形に折りたたんでお渡ししていますので、A4サイズよりもコンパクトでお持ち帰りいただくのも楽々です。鑑賞の記念にお部屋に飾られても面白いかもしれません。


 丸型パンフ表面


 丸型パンフ裏面


文責:前島孝一/写真:学芸員・田村泰男



ワークショップ「フラッシュで写真を盛ろう!」を開催しました

10月20日(土)1時〜3時「Flash! Flash! Flash!」展関連のワークショップ「フラッシュで写真を盛ろう!」を行い、地元の写真クラブ「北風写真倶楽部」のメンバーをはじめとする写真愛好家の方々5名が参加されました。


 学芸員の説明を受ける参加者

館内のスタジオでフラッシュを使った約10種類のライティング方法をご覧いただいた後、中庭に出て、お持ちのカメラで実際に日中シンクロ撮影をしたり、カラーセロハンを使ったり、ちょっとした工夫で「ノーマル」な風景をひと味違った幻想的なものに変えて行く方法を体験。新たにイメージを創造する楽しみを味わっていただけたかと思います。最後に一枚を選び出し、プリントをお持ち帰りいただきました。


 撮れたばかりの写真を学芸員と一緒に確認する


文責:主任学芸員・山地裕子/写真:学芸員補・野嵜雄一



ERIC×大竹昭子
トークイベント「瞬間冷凍した香港、中国、タイ。そして次回作アフリカを語る」を開催しました

芸術の秋まっただ中の2012年10月6日(土)午後2時〜3時半、東京都千代田区一番町のJCIIフォトサロン6階で、ERIC×大竹昭子 トークイベントを開催しました。


 向って左が大竹氏、右がERIC

これは現在好評開催中の「Flash! Flash! Flash!」展の関連イベントで、本展で作品を展示しているYP作家のERICと、作家で写真家の大竹昭子氏のトークセッションでした。ERICと写真との出会いから始まり、作品を年代順に追いながら、その独特な撮影手法や写真の特性について語られました。大竹氏は最初の発表作品以来ERICに注目していたということで、内容の濃い聴き応えのあるトークとなりました。


 トークが進むにつれ、ERICの作品に秘められた「謎」が次第につまびらかになりました

K・MoPAはこれからもYP作家を支援するため、様々な機会を設けていきたいと思います。トークの概要は後日当館Facebookにアップしますので、ぜひご覧ください。


文責:前島孝一/写真:学芸員・田村泰男



●プラチナ・プリント・ワークショップ *2日間通し

K・MoPAが開館以来掲げる3つの基本理念の一つに、プラチナ・プリント作品のコレクションと展示、そして技法の継承があります。このワークショップでは、当館のプラチナ・プリント・コレクションの鑑賞、プラチナ・プリントの辿った歴史のレクチャーに始まり、撮影、ネガづくり、感光剤調合、コーティング(印画紙に感光剤を刷毛で塗布)、乾燥、露光、現像までのすべてを、2日間かけて行います。
アマチュアの方にもプロフェッショナルの方にも、一枚一枚手作りで作品にしていく職人的な面白さと、完成したときの喜びを味わっていただけることでしょう。デジタルカメラ主流の時代であればこそ、古典技法から生まれる作品の存在感とあたたかみを体験してみませんか。モノクロ・プリントの経験がない方もお気軽にご参加ください。

12月1日(土)10:00〜18:00
12月2日(日)9:00〜17:00
会場:K・MoPA内スタジオ、暗室
参加費:一般30,000円(入館料含む)友の会会員27,000円
定員:8名
講師:細江賢治(写真家)
※最少催行人数6名に達しない場合は延期することもあります。
要予約 お問い合わせ: TEL:0551-48-5598 学芸員・田村泰男

●細江英公館長による特別レクチャー

当館のプラチナ・プリント・コレクションの中より厳選した約20点の魅力について、細江英公館長がじっくりと解説。作品を間近に堪能いただける貴重な機会です。

12月1日(土)10:00〜12:00 
会場:K・MoPA2F会議室
参加費:一般 800円 友の会・会員は無料
*プラチナ・プリント・ワークショップ参加者には本レクチャーが組み込まれています。
定員なし
要予約 お問い合わせ: TEL:0551-48-5598

●額装ワークショップ

12月10日(月) 13:00〜15:30
参加費:一般1500円(入館料含む)、友の会会員1200円
講師:学芸員・田村泰男
定員:6名
要予約 お問い合わせ: TEL:0551-48-5598


K・MoPAチャリティ・ライブ2012
おつきゆきえさんによる宮沢賢治作品の朗読会を終えて
−心温まるひと時−


 秋の気配が清里高原に漂う2012年9月17日(月・祝)午後2時〜4時、当館の音楽堂でK・MoPAチャリティ・ライブ2012を開催いたしました。折から心配していた台風の影響もなく、近隣から遠来、またお子さん連れのご家族まで64名のお客様にご来場頂きました。
 今年のステージは、おつきゆきえさんによる宮沢賢治作品の朗読会。おつきさんは山形県の出身で、賢治の作品にとことん惚れ込み、宮沢賢治と絵本の朗読家として、鞄ひとつで全国にお話の出前をされています。


 朗読中のおつきゆきえさん。穏やかな佇まいが印象的です

 朗読の演目は、賢治の童話でもお馴染みの「どんぐりと山猫」「やまなし」、そして、おつきさんが特にと選んでくださった「祭りの晩」。「どんぐりと山猫」は、登場する山猫やどんぐり、一郎少年たちの掛け合いが本当に愉快で、思わず吹き出して笑ってしまう方がいるほどでした。幕間のトークでは、本話が示唆する男の子の幼年期からの卒業という解説や、賢治作品に対するご自身の思いを語ってくださいました。「やまなし」は、幻想的で透明感を感じるストーリーと、おつきさんの静かな語り口が相まって、「夢の世界に誘われたかのようでした」と、仰るお客様もいました。最後の「祭りの晩」は、亮二という少年が自分の小遣いで、木戸銭の支払いに困っていた正直者の山男をそっと助けるお話です。山男から届いた、たくさんのお礼を前にして、なお彼を思いやる亮二の純粋で温かな心根と、おつきさんの渾身の朗読に感涙される方も見受けられました。




 おつきさんの、しっとりと柔らかく、時にコミカルで、時に凛としたお声から紡ぎ出される賢治の物語の世界は、お客様の心に温かな余韻を残した様子で、朗読会の終了後、会場を後にする方々は皆、穏やかで優しいお顔をされているようでした。
 本年も、チケットによる収益は、東日本大震災の復興支援と、写真家の井津建郎氏がカンボジアに創設した「アンコール小児病院」を運営する「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN」に寄付いたします。


文責:前島孝一/写真:学芸員・田村泰男


K・MoPAオンラインショップを休止

 当サイト内にて長年ご愛顧いただきました「K・MoPAオンラインショップ」は、2012年9月30日をもってクローズさせていただきます。皆さま、どうもありがとうございました。
尚、清里フォトアートミュージアム内ミュージアム・ショップでは、引き続きK・MoPAオリジナル図録、ポストカードなどの販売を行います。
シーズンごとに、ステーショナリーや小物などの商品も充実してまいりますので、ぜひ展覧会をご高覧の後にお立ち寄りいただければ幸いです。
遠方でご来館になれない方には、現金書留めにて商品価格+送料をお預かりしました後に商品発送もいたします。どうぞ下記まで、お気軽にお問合せくださいませ。

◎お問い合わせ先:
K・MoPAミュージアムショップ TEL :0551-48-5599 (10:00〜17:30 /火曜日休館)

●Flash! Flash! Flash!関連トーク @東京
瞬間冷凍した香港、中国、タイ、そして次回作アフリカを語る

来る10月6日(土)、「Flash! Flash! Flash!」展関連トークとして、本展に出品中の若手写真家ERICと文筆家の大竹昭子氏による、約2時間のスライド&トークイベントを行います。日本、中国、インド、タイをはじめ各国の人々を撮影してきたERIC。半径2メートル以内でフラッシュをたいて撮影するスタイルにこだわるのはなぜか?次回はアフリカでの撮影を構想中のERICが大竹氏に何を語るのか、新進気鋭の作家の生の声をぜひお聴きください!

●「瞬間冷凍した香港、中国、タイ、そして次回作アフリカを語る」
ERIC(写真家)×大竹昭子(文筆家)
10月6日(土)開場:午後1時30分 開演:午後2時
会場:東京都千代田区一番町25番地JCIIビル
   JCIIフォトサロン6F 会議室
★無料 /ご予約不要 /定員100名

◎大竹昭子氏のHP
 http://katarikoko.blog40.fc2.com/

◎ERICのHP
http://ericolour.com/exhibition/2012/




エリック
《LIVE WATER》2011年
ERIC, LIVE WATER, 2011
ERIC




エリック
《LIVE WATER》2011年
ERIC, LIVE WATER, 2011
ERIC




《中国好運》2007年
ERIC, Good Luck China, 2007
ERIC




エリック
《中国女》
ERIC, Chinese Woman, 2009
ERIC




浅田政志
タイでの《LIVE WATER》撮影を再現するERIC
マルチフラッシュ風
2012年
ASADA Masashi




ERIC 《中国好運》 2007 年
ERIC, Good Luck China, 2007
ERIC




ERIC 《LIVE WATER》 2011 年
ERIC, LIVE WATER, 2011
ERIC


●福島からの団体も参加
体験ワークショップ「光で写真を描こう!」

2012年8月4日(土)13:00〜15:00、ワークショップ「光で写真を描こう」を開催しました。当館音楽堂のライトを消灯し暗闇を演出、参加者はK・MoPAが用意した赤、青、緑、白の4色のペンライトをくるくると回したり、自由に動きながら、空中に絵や文字を描いていきます。およそ10秒の間、長時間露光することにより、美しい光の軌跡が写真に写る、というシンプルなワークショップでした。


デジタルカメラをセッティング


足元に白いライトをセット。両手に赤や青のペンライト


下記は、会場に少しだけ灯りを残して撮影したバーション。露光中にフラッシュをたくと、人の姿も写真に写りこみます。


8月4日は、一般参加終了後の15:00〜17:00まで、福島県から一泊二日で清里入りをした親子連れなど、約30名とボランティアを受け入れて、もう一度ワークショップを行いました。講師を務めた当館の田村学芸員が、偶然にも福島県出身だったことから、みなさんとの距離も、お互いにぐっと近づいたようでした。そして5歳の子どもからお母さん、おばあちゃんまで、みなさんの描いた作品の美しいこと!


「なんだか・・・楽しい!」(福島県在住の子ども連れのお母さん/談)
カメラに近づくと光のラインが太くなり、躍動感のある強い作品になりました。


元気いっぱいの子どもたちの動きそのもの。


8月4日の日付を上手に描いています。

同ワークショップは、8月9日(木)と18日(土)にも、福島の親子連れとボランティアのグループを迎え、合計3回開催しました


8月9日のグループ。☆のマーク?上手に描けています。


暗闇に浮かびあがる光の輪。


ボランティアのお兄さんとお姉さんも参加。

子どもたちは、清里の自然のなかで思い切り遊んで虫を捕ったり、この日のために会議室に特設した「ピンホールカメラの部屋」でカメラのしくみを体験したり。そして「光で写真を描こう」を通して芸術の世界に触れた記念に、一人一枚ずつプリントをお持ち帰りいただきました。2012年の夏、清里で過ごした良い思い出になるといいのですが!
またいつの日か清里でお目にかかる日を、K・MoPAスタッフ一同心待ちにしています。

文責:広報主任・小川直美 / 写真:学芸員補・野嵜雄一


空間と、人と作品とのハーモニー
「feel」清里現代彫刻展@K・MoPA

 2012年7月21日(土)より、当館にて好評開催中の「feel」清里現代彫刻展。「feel」は、栗生明氏設計のK・MoPAの建築空間にインスパイアされた鉄の彫刻家、上野玄起さんにより発起されたプロジェクトで、当館は2006年から毎年、期間限定で会場を提供しています。7回目となる今年は、清里周辺で制作・活動する彫刻家たち10名による立体作品を館の内外に展示しています。


 石田泰道/TAKEMAYU  
 竹で作られた繭(まゆ)の中に入ると、涼やかな空間が楽しめます


 上田快/礎  
 「石柱の庭」前の、ガラスの壁を隔てて対峙する二つの彫刻


 8月1日(水)・8日(水)の両日16:00〜16:30、「feel」初の試みとなる、作品とパフォーマンス、即興演奏のコラボレーションが開催されました。
 舞台となったのは、地元の中学校で美術を教えている村岡由季子さんの作品展示スペースで、当館の西に位置する「百日紅(さるすべり)の庭」。四方を囲われた芝生のパティオには、神殿風の階段と、16本の百日紅が。ソリッドなグレーの建物と草木の緑が調和した心地良い空間です。パフォーマンスは、縄文に起源を持つという土製古代笛の作者にして奏者である、宇々地(ウージ)さんの笛や打楽器の音に合わせて繰り広げられました。


 パフォーマンスと演奏の幕開けを待つ百日紅の庭


 上から眺めた百日紅の庭。周囲を仕切られていながら、開放的で伸び伸びした空間です。


 小さなお子さん連れから熟年層まで、初回は20名を超え、二回目には約50名のお客様が集い、3人のパフォーマーと作品、音と空間のハーモニーを楽しみました。特に多かったのは、地元の親子連れのご家族で、普段は静かな庭が活気あふれる賑やかな場に変貌。"空間と心をつなぐかたち" "人と空間と作品をつなぐ"という「feel」のコンセプトを身近に体感されたひと時となったことでしょう。


 終演後は観客と出演者が親しく交流できました。子供たちも楽しそうです


 こちらが宇々地さん。子供たちは、宇々地さんの楽器に興味津々です

 また8月12日(日)に行われた 「feel」出展作家が自身の作品を語る作品ツアーも、約30名の方にご参加いただきました。


 佐藤正和重孝/ゴライアス・カシクス
 甲虫をテーマにした作品について語る作者の佐藤さん。甲虫の背はモザイクで彩られています


 荒木いち夫/漂流/drift
 音楽堂の外にある、荒木さんの作品を鑑賞中


「feel」清里現代彫刻展は10月8日(月)まで開催中です。皆様のお越しをお待ちしております。

文責:前島孝一/写真:主任学芸員・山地裕子、学芸員・田村泰男


K・MoPA友の会リニューアル記念
9、10月にご来館される方に、会報のバックナンバーをプレゼント

2012年9/1(土)〜10/31(水)の間にご来館くださった方のうちご希望の方に、下記のK・MoPA友の会・会報バックナンバーを差し上げます。

◎2012年9/1(土)〜30(日)まで
●会報34号「内なる聖地―井津建郎が語る写真、旅、アンコール小児病院」
インタビュア:『風の旅人』編集長・佐伯剛

「僕は自分の体内の空気をその場所に同一化、溶け込ませたいんです」(井津氏談)。大型カメラで遺跡を撮り続けてきた井津氏が、初めてブータンの人々にレンズを向けたのはなぜか。34号では、当館のチャリティ・イベントにおける井津氏×佐伯氏のトークセッションを掲載しています。井津氏にとって一つのターニングポイントとも理解できる、大きな心境の変化を語った対談です。


◎2012年10/1(月)〜31(水)
●会報36号「ダイトランスファーについて」
執筆:ニノ・モンデ(プリンター)/ 翻訳:木下哲夫
ダイトランスファー・プリントは、複雑な作業と熟練を要する手刷りの染料転写方式。他の技法では再現できない深い色調を生み出します。「Flash! Flash! Flash!」に展示中のエジャートン博士の作品群の一部も、この美しい技法によるものです。36号では、材料生産の終了とともに途絶えようとしているダイトランスファー技法の第一人者、ニノ・モンデ氏が、2009年7月から10月に当館で開催した久保田博二「アジアの肖像:ダイトランスファー・コレクション」展に寄せて特別に執筆くださった貴重な原稿です。

バックナンバーは館内ガレリアなど3か所に設置いたします。どうぞお手にとってご覧ください。

文責:広報主任・小川直美


●参加募集!
Flash!を極めて、写真を盛ってみませんか?

使いこなせそうでなかなか思い通りにならないフラッシュ機能。プリントしたら被写体が真っ白だったり、想像していたより暗く、きれいに写らないなど悩みは尽きません。今回は、展覧会作家のERICも駆使している撮影法で、日中にフラッシュをたく「日中シンクロ」など、フラッシュ光をコントロールする簡単なレクチャーと実技指導を行います。初心者の方、写真表現力をぐぐっとアップして、家族のスナップショットや秋の行楽シーズンに備えてみませんか?あなたのフラッシュ技術向上で、被写体も思わず笑顔になるでしょう。当日はプリントを一枚お持ち帰りいただきます。

●体験ワークショップ「フラッシュで写真を盛ろう!」
10月20日(土)午後1:00〜3:00
講師:田村泰男(学芸員)
参加費1,000円(入館料込み/友の会会員は無料)高校生以下500円
★要予約 /定員15名
デジタルカメラ持参もOKです。
予約: TEL:0551-48-5599
    氏名、参加人数、連絡先をお知らせください。

●10月6日、ERIC×大竹昭子 トーク@東京

「Flash! Flash! Flash!」展に出品中の若手写真家ERICと文筆家の大竹昭子氏を迎え、K・MoPAの出張トークイベントを行います。
日本、中国、インド、タイをはじめ各国の人々を撮影してきたERIC。トーク直前に敢行した初めてのアフリカ撮影で新境地に至ったのか?!
大竹氏のナビゲートと共に存分にお楽しみください。参加無料、ご予約も不要です。

●ERIC×大竹昭子 トーク@東京
10月6日(土)午後2:00〜4:00
会場:東京都千代田区一番町25番地
JCIIビル6階会議室
★無料 /ご予約不要 /定員100名

●11月17日、K・MoPAで星をみる会

しし座流星群極大のこの日、清里の澄んだ空気の中、美しい星空を観望しながら現役の天文学者と宇宙の不思議について親しくおしゃべりできるとご好評をいただいている「K・MoPAで星をみる会」を開催します。
講師には、秋の当会の恒例となっている国立天文台の梅本智文氏をお迎えします。星を見るのは正直初めてという方も、星のことなら任せてほしいという通な方も、どんな方にも親切に教えてくださる梅本さん。遠くに瞬く星々が生まれてから今日までに至る数十、数千年億年という単位で様々なものごとに想いをはせてみる、そんな時間を過ごしてみませんか。

●K・MoPAで星をみる会
11月17日(土)午後5:00〜7:00
講師:梅本智文(国立天文台 水沢VLBI観測所 助教)
参加費1,000円(入館料込み/友の会会員は無料)高校生以下500円
★要予約/定員15名
●予約: TEL:0551-48-5599
    氏名、参加人数、連絡先をお知らせください。


K・MoPA友の会リニューアル記念。
2012年8月にご来館される方に、会報のバックナンバー24号プレゼント。

2012年8/1(水)〜20(月)の間にご来館くださった方でご希望の方には、下記のK・MoPA友の会・会報バックナンバーを差し上げます。


バックナンバー
会報24号『私の樺太引揚げ―渡辺桐子インタビュー』
●アニメーション映画「グスコーブドリの伝記」プロデューサー

この会報24号は、K・MoPA開館10周年記念として2005年7月〜10月に開催した「WWU―日本の敗戦:キャパ、スミス、スウォープ、三木淳の写真」に展示した当館コレクションをより深く読み解いていただくために、アニメーション映画プロデューサーの渡辺桐子氏にロングインタビューを行い、6ページに渡り掲載したものです。渡辺氏は、現在全国一斉ロードショー中の「グスコーブドリの伝記」のプロデュースでも活躍されています。

渡辺氏の生まれ育った樺太に、敗戦と同時に押し寄せた過酷な出来事の数々、函館の収容所生活、引揚げ後に直面した日本の厳しい現実。「女性、子供、弱い者たちが見捨てられるのが戦争。」という渡辺氏の言葉を、もう一度振り返ることができればと思います。バックナンバーは館内ガレリアに設置いたします。

文責:広報主任・小川直美


ERIC ポートレート撮影現場!


浅田政志
タイでの《LIVE WATER》撮影を再現するERIC
マルチフラッシュ風


Flash! Flash! Flash! from SkyCrane on Vimeo.

 ERICは今回の「Flash! Flash! Flash!」のためにポートレートの出展を計画し、友人である写真家・浅田政志さんと一緒に撮影を行いました。ERICの最新作、タイの洪水の中で撮影したシリーズ<<LIVE WATER>>を撮るERICを再現。エジャートン博士へのオマージュとして、マルチフラッシュ風に仕上げた作品です。撮影は、2012年6月27日に都内のスタジオで行われ、カメラを装着したラジコン・ヘリを飛ばしています。スタジオの熱気がこちらにも伝わって来るようですね。
撮影:野口 克也
出演:ERIC×浅田 政志
構成:野崎 武夫

2012年5月、K・MoPA友の会 特典をリニューアル
学生会員の募集をスタートします!


2012年5月より、K・MoPA友の会の会員特典をリニューアルいたしました。
コンセプトは、写真家を目指して当館の「ヤング・ポートフォリオ」(YP)に応募してくださる若い世代に、もっと当館のコレクションやYP作品展に触れていただけるように、新たな特典を設け、学生会員割引制度を設定しました。

当館の基本理念のうち最も力を注いでいる活動が35歳以下の若い写真家を支援する「ヤング・ポートフォリオ」。20代、30代である彼らに向けて館長の細江英公が投げかけている言葉があります。

「本当に良い作品を見たことがない若者があまりにも多いんですよ。これは決定的ですよ。だから我々のような前の世代の人間が、啓蒙していかなければならないと思います。オリジナル・プリントはね、見て、触れるものですよ。」(2011年度ヤング・ポートフォリオ図録より抜粋)

優れた作品を創ることは、優れた作品を見ることから始まります。まずは、展覧会でオリジナル・プリントを見ていただくこと。さらに世界の若手作家の作品を勉強できるように、図録『ヤング・ポートフォリオ』を年1冊をプレゼントするほか、友人を誘って気軽に来館いただけるように同伴者の入館料を半額に設定しました。

年2回発行予定のニュースレターでは、写真家を目指す方はもちろん、若い作家を応援したいというすべての世代に向けて、現役の写真家であるYP選考委員の叱咤激励の声、YP作家や卒業作家の声や作品を積極的に紹介し、時代を担う世代への励みとなるような紙面を目指します。
シニアの方々に向ける新たな特典としては、会員限定特別レクチャーなどを随時企画いたします。

K・MoPA友の会の年会費は3000円(学生は2000円)。
2012年度の特典は下記のとおりです。

1. メンバーズカードはご入会日より一年間有効。期限内は何度でも入館無料です。
2. ご入会・ご継続の際には図録「ヤング・ポートフォリオ」の引き換え券を1枚プレゼント。
3. K・MoPAミュージアム・ショップでのお買い物を10%割引します。
4.ニュースレターを年2回郵送します。
5.同封のK・MoPAの招待券2枚(無期限)を随時ご利用ください。
6.会員に同伴された方の入館料を全員半額にいたします。
7.館長や学芸員が、当館コレクションより特別に数点を選んで解説するレクチャーにご招待します。(不定期)

*そのほかご希望の方には、不定期のe-mail配信サービスを行ないます。

★学生の方は、年会費が割引(2000円)となります。
<払込み用紙に記載のご注意>
必須項目 
●生年月日
●職業欄(専門学校生/大学生/大学院生など)
●払込取扱票と受領証(二ヶ所)の3000円を2000円に訂正の上、
ご自身の印鑑を押印ください。
*ご不明の場合は郵便窓口でお問い合わせください。

【お申込み】
K・MoPAチケットカウンターに設置の入会案内に必要事項をご記入の上、直接または郵便振替でお申込み下さい。学生の方は上記のとおり印鑑が必要です。
遠方の方には申込み用紙を郵送いたしますのでまでご一報ください。

文責:広報主任・小川直美


参加募集!
K・MoPAチャリティ・ライブ2012

K・MoPAでは2度目となる、おつきゆきえさんによる宮沢賢治作品の朗読会。賢治の作品の中から、きらりと光る、異なる味わいの3つの小品をお贈りします。演目の一つ「祭の晩」は「こんなに正直で優しくて美しい作品に皆さんが出会ってほしい」と、おつきさんが特に推薦くださった作品です。
すこし早足で秋が訪れる清里の午後。森に囲まれたK・MoPA音楽堂でおつきさんの語りに耳を澄ませ、心身ともにくつろいでいただければ幸いです。

本イベントのチケットによる収益は、東日本大震災の被災地と、写真家の井津建郎氏がカンボジアに創設した「アンコール小児病院」に寄付致します。

K・MoPAチャリティ・ライブ2012
日時:9月17日(月・祝)14:00〜16:00 途中休憩あり
会場:清里フォトアートミュージアム音楽堂
出演:おつきゆきえ

プロフィール
山形県出身。朗読の故・木村功氏に師事。89年〜99年、絵本と木のおもちゃの店「ピースランド』主宰、90年より同店内にて「宮沢賢治の朗読とお茶の会」、出前の朗読会も始める。2000年「ほんたうのたべものや」を開設、宮沢賢治作品と絵本の朗読家として、鞄ひとつで全国にお話しの出前をする日々を過ごす。

演目:「どんぐりと山猫」「やまなし」「祭の晩」
参加費:3000円 2名以上はお一人2000円
     友の会会員は、各1000円引き
定員:120名 全席自由 
予約:i TEL:0551-48-5599
    氏名、参加人数、連絡先をお知らせください。


●参加募集!
体験ワークショップ「光で写真を描こう!」




ペンライトや懐中電灯と、デジタルカメラを持参ください。暗闇でくるくると回転させた光の軌跡を美しく幻想的に撮影できるよう、当館学芸員がレクチャーしながら体験いただける楽しいワークショップです。プリントを一枚お持ち帰りいただけますので、親子で参加して夏休みの自由研究にするには好適です。

「光で写真を描こう!」
日時:8月4日(土)13:00〜15:00
会場:清里フォトアートミュージアム音楽堂
講師:田村泰男(学芸員)
参加費:1000円(入館料込み)高校生以下は500円
     友の会会員は無料
定員:12名
予約: TEL:0551-48-5599
    氏名、参加人数、連絡先をお知らせください。


参加募集!
K・MoPAチャリティ・ライブ2012

K・MoPAでは2度目となる、おつきゆきえさんによる宮沢賢治作品の朗読会。賢治の作品の中から、きらりと光る、異なる味わいの3つの小品をお贈りします。演目の一つ「祭の晩」は「こんなに正直で優しくて美しい作品に皆さんが出会ってほしい」と、おつきさんが特に推薦くださった作品です。
すこし早足で秋が訪れる清里の午後。森に囲まれたK・MoPA音楽堂でおつきさんの語りに耳を澄ませ、心身ともにくつろいでいただければ幸いです。

本イベントのチケットによる収益は、東日本大震災の被災地と、写真家の井津建郎氏がカンボジアに創設した「アンコール小児病院」に寄付致します。

K・MoPAチャリティ・ライブ2012
日時:9月17日(月・祝)14:00〜16:00 途中休憩あり
会場:清里フォトアートミュージアム音楽堂
出演:おつきゆきえ

プロフィール
山形県出身。朗読の故・木村功氏に師事。89年〜99年、絵本と木のおもちゃの店「ピースランド』主宰、90年より同店内にて「宮沢賢治の朗読とお茶の会」、出前の朗読会も始める。2000年「ほんたうのたべものや」を開設、宮沢賢治作品と絵本の朗読家として、鞄ひとつで全国にお話しの出前をする日々を過ごす。

演目:「どんぐりと山猫」「やまなし」「祭の晩」
参加費:3000円 2名以上はお一人2000円
     友の会会員は、各1000円引き
定員:120名 全席自由 
予約:i TEL:0551-48-5599
    氏名、参加人数、連絡先をお知らせください。


5/19YP公開レセプションと5/20ギャラリートークを終えて

新緑の鮮やかさが目に染みる2012年5月19日(土)、2011年度ヤング・ポートフォリオ(YP)選考委員の鬼海弘雄氏、都築響一氏のほか73名の方々をお迎えして、2011年度YP公開レセプションを開催しました。


細江英公館長による開式の挨拶

2011年度YP作家は、国内から9名、海外から1名が参加。中央自動車道の事故渋滞のため、30分遅れて午後2時半からの開式となりました。


菱沼勇夫氏(2011年度YP)

初めに当館館長・細江英公より2011年度YP購入作家に作品永久コレクション証書を授与。続いてメインの講評会のために、会場を展示室に移し、当日参加した10名の作家による1分間のスピーチと講評会を行いました。



牧野智晃氏(2011年度YP)


林典子氏(2011年度YP)

●林 典子
この作品は、今から2年前の2010年に、パキスタンに約3ヶ月間滞在して撮ったものです。結婚を断られた報復や家庭内暴力の延長で、硫酸を女性の顔にかけるという事件が多発していて、被害にあった方々と一緒に生活をしながら写真を撮らせてもらいました。私が写真を撮った女性達は15人位、今回購入いただいたのは、20歳のときに被害にあった22歳のセイダの日常です。彼女が入院していた病院で出会い、病院、そして村に帰ってからも家庭で一緒に生活をさせてもらいました。硫酸の被害者の写真は、海外のカメラマンによるポートレートも多く、傷の深さとか、硫酸がどれだけ人の顔を傷つけてしまうかを伝えるには十分だと思いますが、傷を負った後、家族とどんな生活をしているか、笑ったりするのか、そんなセイダの表情や姿を写真に残したいと思って撮影しました。彼女の強さを表現できたらと思っています。

●鬼海弘雄(以下、鬼海)
こういう形で、積極的に他人に関心を持ちながら制作するというやり方は、写真表現としてかなり重要な部分だと思います。最近の写真は社会的関心に対してほとんど目を向けない、自分達がどういう生きものなのかと考えることなくして写真は成立しないと思うのですがね。だから、若い人がこういう写真を撮ってくると本当にホッとします。写真というのは向日性といいますか、植物が光に向かうようにいろんな根をもっている訳です。今、そういう地味な仕事に対して、写真家は感性が勝負だなんて言っていますけど、感性以前に根っこのほうが大事なのですね。ここで掴んだ関心の根っこは他に移動しても良いのですから頑張ってください。

●都築響一(以下、都築)
林さんが言われたように、欧米の報道写真家も結構この題材を撮っている。僕もたぶんそうすると思うのですが、感動的なポートレートを撮る方向に向かうと思うのですよね、ワンカットで絵画のように。それをせずに3ヶ月一緒に暮らしたというところが凄いな、と思います。やっぱり写真家である以上、綺麗な画面を作ろうという誘惑に抗するのが難しい時がある。しかし、そうではなくて、自分を抑えて粘着質に題材に寄り添っていくという姿勢、女性同士だということもあるのかもしれないが、すごく良い方向へ突っ込んでいかれたなと思います。どんどんパキスタンに舞い戻るとか、普通のセンセーショナルな写真ではない方向に踏み込んで、やり続けていってください。神様からやらされているのだから仕方ないですよ。


左から、山内悠氏(2011年度YP)と
講評中の選考委員・都築氏、細江、鬼海氏

●山内 悠
富士山須走口7合目という登山道の山小屋に年間150日間滞在し、目の前にある雲の変化を追いかけました。それを4年間くり返して延べ600日になっています。撮っている所は四方30mくらい。雨が降れば水を集める、晴れれば小屋のメンテンスをするという天気次第の生活の中で、この雲の下の隔たりや枠組みというものがどんどん外れて、自分たちは生かされているのだ、という感覚になっていきました。今、登山ブームで、多くの人々が富士山に登る2ヶ月の間に、何百年も続いてきたそこでの営みに矛盾が生まれていて、何かおかしいなということをずっと思っていました。だからずっと撮り続けて、自分達の頭上は空ではなく宇宙であるという事を、作品を通して多くの方に見てもらえたら嬉しいなと思っています。

●都築
この下は曇っていて、そこにいる人達は、曇ってるだとか雨が降っているとか大体不快な気持ちになっていますよね。だけど、それを突き抜けると宇宙があるっていう両方が撮れているから素晴らしいと思います。よくある空に浮かんでいる雲ではなく、これは雲海を撮っているようでいて、その下の生活を感じさせるところがある。ただの綺麗な写真ではないという事で見応えがあると思います。壁一面の大きなサイズで見たいですね。

●鬼海
そんな沢山の時間で撮っているとは思いませんでした。いいセンスでパチパチ撮っているのかなと思っていたのだけれども、凄いエネルギーだと思います。何年間もずっと撮り続けていて退屈しませんか?こういう写真は決定的瞬間が無い訳だから、撮りだすと止めどなく撮れる。それをストップさせるのは大変ですよね。

●山内 悠
6×7で、大体2時間くらい撮り続けます。太陽が昇って来る頃に"余白の時間帯"というのがあって、僕が写真を撮っている所がちょうど崖なので、映画"タイタニック"のシーンのように、雲の上に浮いているような、宇宙に浮遊しているような感覚になれるのです。太陽と月の間に地球があり、自分はそこに立っていて、生きる事を毎日やっている、そういう感覚の中で撮っていました。

●鬼海
ビジュアルだけでなくて、こういう言葉を聞くともっと面白くなりますよね。

●細江
宇宙にも何か生きもの的なコアがあるのかな、という事まで考えさせてくれる、宇宙的写真というべきですね。大きい世界を見せてもらっているという感じを受けました。やはりもっと大きいプリントがいいね。出来るか出来ないか分らないかもしれないけれど、出来る方向に積極的に頑張ってもらいたい。50年経っても同じ風景がまだあるという事なのだから。何時やってもいい訳だ、出来る時に。



川本健司氏(2011年度YP)

●川本健司
「酔っ払い天国」シリーズを何年か撮っていて、初めは被写体の酔っている人達に興味を持っていたのですが、徐々に、実はこの人達を撮りたいのでは無い、その状況というか風景を残したいのだ、という事に気付きました。そこで、もっと背景などを緻密にきちっと記録したいと思い、大型カメラで撮りました。これは以前、都築さんに写真を見て頂いた時に「4×5で撮ってみたら?」と、アドヴァイス頂いた事もあります。今もこのシリーズは撮り続けていますが、初めて大きいフォーマットで撮ったものがこれです。

●細江英公(以下、細江)
この人物が、今の東京、あるいは大阪という大都会の孤独感を背景に写っている訳ですね。4×5を使ったのは大変に必然性があったと思います。この小さな文字まで見えるようなディテールの描写は、観察者としてのあなたの立場を明快にしていると思います。35mmでパパッと撮ったものでなく、モノと全体の空気とあなたとの関係が見事にひとつの物になっているという感じがする。ある意味では非常に寂しい写真ですし、ある意味ではぐっと都会の冷たさ、人間の弱さが感じられる優れたドキュメントであると思います。あと何十枚か同じようなものが生まれたら、さらに内容が深まるであろうし、見る者が様々なことを感じる「人間写真」とでもいうような凄いシリーズになると思います。

●鬼海
地面の酔っ払いの方に三脚を置いたのではなくて、川本さんが自分の方に三脚を置いたのですね。これは相当の根性がないとできませんよ。細江さんが仰ったように持続していくためには、1時間に60枚とか、除夜の鐘は108回だとか、1年は365日だから360枚とか、括りを付けてやらないとなかなか難しい。マンネリにならないように。時間と、ある種の怖さを恐れずに、逃げずにやるのが決定的に大事ですね。写真というのは暴力的な物ですから、他人に写真機を向けるという事は何時だって怖い事なのです。「それ以上の物を作りたい」というパッションが無い写真はダメなのです。もう40年くらい写真をやっていますが、何時でも「なるべくだったら写真撮りたくないなぁ」と思うのです。「あぁ、止そう」と思うけれども「パタン」とファインダーを開けた瞬間、別の人格になるのですね。写真は他の芸術作品と違って観念的なものではできない。全て現実そのままであり、フィルムとレンズという冷たい化学的なものでしか記録できないのです。それだけなら単なる定点観測になる訳ですが、三脚を付ける、立てる時の決断・決意が写真を作家のものにしていくと思うのです。これをやるのであったら、徹底してやって欲しいですね。


●都築
僕はこの人を少し知っているのですが、かなり徹底して酔っ払いばっかり撮っているんですね。大型カメラを使ったら、というアドヴァイスは、写り込んでいる街の空気感が素晴らしいと思って、酔っ払いをポイントにしてそれを切り取って欲しいという思いで言ったのです。細江さんの仰るように、確かに都会の孤独が表れている、その一方で、私も酒飲みだからわかるのですが、寝ているオジサンたちにとっては、メチャクチャ気持ち良い時間なのですね。もう起こされたくない、出来ればほっといてくれ、という感じがあって、似たようなことをしている身としては、冷たい空間の中、なぜか寝ているエリアだけに温かいゾーンがある。ホームレスが寝ているのとはまた違う。そういう不思議さが川本さんのこのシリーズの、ちょっと秘められた面白さになっているのかなと思います。これからも酔っ払いから眼を背けることなく、頑張って続けてください。


木忠智氏((2011年度YP)

●木 忠智
皆さんもご記憶に新しいと思いますが、昨年の3月11日に起きた東日本大震災を撮ったものです。私は新聞社や雑誌社の仕事で震災の約2日〜3日後から現地に入り、車の中で寝泊りを繰り返して2ヶ月ほど東北で取材をしていました。今回のパノラマ写真は、360°全ての景色が壊されていたという衝撃を受けて、1枚の写真では私の実力では捉えきれないと感じたためです。亡くなった方々もたくさんおられます。現在も取材を続けていまして、パノラマで、この1年後に全く同じ場所で撮っています。また遺族のその後の生活を追って取材をしております。今後も継続して取材をしていきたいと思っています。

●鬼海
凄い写真だと思います。淡々と撮っている。パノラマというのは一つの仕掛けで物を作る時に芸術作品風になるのですが、全体的にじっと風景を見て写真を撮っている。(異なるフォーマットの写真を見て)私はこの作品とこの作品は全く別人が撮影したと思っていたのですが、どちらも木さんだった。こうした空間を撮るということに感心しました。こういうのはキツイです。しかし写真というのはやっぱり現実を見るレンズですから。素晴らしいと思います。

●都築
新聞の仕事で取材に行かれたと仰っていましたが、(異なるフォーマットの写真を見て)僕たちがメディアに求められる写真というのは(パノラマではなく)こっちだと思うのです。パノラマというのはフォーマットの性格上、あまり表には出てこない。雑誌に載せると小さくなってしまうのでね。撮られている主題については何も言うことがないので写真だけのことを言うと、僕もパノラマが好きで専用のカメラを買ったりするのですが、横長にしていくと逆に視線が拡散していくのですね。中心が無くなって、漠然と景色が広がっていく感じがある。いつも、もっと全部を見せたいなと思ってパノラマで撮るのに逆効果になってしまう事があるのですが、この被災地を撮った作品は、1箇所に目が行かないで、どんどんあっちへこっちへと行くというパノラマ写真ならではの不思議な効果を見て頂けたら良いのではないかと思います。


講評会の後は、招待者、一般参加者、選考委員とYP作家の懇親会。講評会では語りつくせなかったことを鬼海氏と一対一で掘り下げる作家、持参した新作について、館長・細江の意見を真剣にもとめる作家、都築氏より「僕のwebサイトで連載してみない?」と声をかけていただいた作家もあり、若手写真家にとって、例年以上に刺激的な場となったようでした。この日が彼らの成長に少しでも役立つことを願います。


アメリカから駆け付けたイ・ジュンヨン氏(2011年度YP)


エントランスホールにて 2011年度YP作家と選考委員

翌5月20日(日)午後1時〜3時には、選考委員によるギャラリー・トーク。
鬼海氏、都築氏、館長の細江がそれぞれ注目する作家をセレクトし、講評や感想を語ってくださいました。

●アブヒジット・ナンディ氏(インド)への講評
鬼海:私の写真はこちらが心を開いて相手にも開いてもらう、というやり方だけど、この人はshoot、まさに狙撃手のように撮影している。シャッターチャンスが良くて、ちょっと悔しいくらいだな。なかなかこうは撮れないですよ。黒くて強いプリントといい、自分はこう撮りたい!こう見せたい!という非常に強い気持ちが伝わってくる。普段着のインドじゃなくて外国人に見せるインド、という意識が見えなくもないが、これからメイン・ストリームに乗っていく写真家ではないかと思います。


ナンディ氏の作品を講評する鬼海弘雄氏

●G.M.B.アカシュ氏(バングラデシュ)への講評
細江:彼は、毎年数多くの作品を応募してくれて、購入枚数も大変多い作家です。プロフェッショナルのフォト・ジャーナリストだからこそ、ここまで突っ込んで被写体と向き合うことができるのではないかと思いますよ。
都築:まっすぐに生きて、伝えたいことがあって、まっすぐに写真を撮っている、という健全さを感じます。
鬼海:それをストレートに表現できるのも写真家としての上手さがあってこそですね。


作品を講評する細江英公館長


●アレクサンデル・ドゥライ氏(ポーランド)への講評
鬼海:非常に上手い。上手さというのは、自分なりの歩き方をつくるための上手さ。当然上手いだけじゃダメなんだけど、それも必要なことですからね。だから私は、音楽やその他の芸術の世界のように、写真の世界にもある種の競争が必要ではないか?と、思っているんですよ。この人の作品は、大きなプリントで、見せ方も良い。こうして美術館に展示をして見ると実に素晴らしくて、印刷物では出にくい魅力がある。この女性の柔らかく静かな表情からは「この人の持っている時間を撮る」という作家の姿勢が感じられるんですよ。良い写真とは、被写体と写真家の関係ではなく被写体と作品を見る人との関係をひっぱり出せる写真で、これはそういう写真だと思います。


Gauchito Gil Museum, 2006
Guillermo SRODEK-HART


●ギジェルモ・シュロデック=ハート氏(アルゼンチン)への講評
都築:この村での生活がよくわかる。小さい暮らし、その人を取り囲むモノを撮影することによって、そこで生活する人自身をむき出しにしている。写真の魅力である“さらけ出す面白さ”がある。見えるものから見えない世界にまで固執していくような。作家が「この場所が好き」という感じが、すごく伝わってくるんですよ。同じ目線、あるいは、ちょっと下から目線で撮影しているところが非常に好ましいです。デジタルでもいいので、webサイトでまとまった数の作品を発表するのを見たいですね。

●關口寛人氏への講評
都築:これは高齢者向けの施設で撮影したのでしょう。擬人化された人形、主題と作家の目線がとても良い。被写体もカメラをまったく意識していない。僕は「自分ならどう撮るだろうか」と、他人の作品を見ながら常に考えてしまうんですが、色味について言えば、ここまで青色を強く、彩度を下げた感じにつくりこむ必要があったかどうか?生々しさをあえて避けているのかもしれないですけど。被写体の表情に、よく理解できるものと、計り知れない謎のあるカットがあり、いろいろなことを考えさせてくれる作品です。


關口氏の作品を講評する選考委員・都築響一氏


連日参加の高橋尚子氏(2011年度YP)にも講評が。

2011年度YP選考委員の鬼海弘雄氏、都築響一氏には二日間にわたり、誠にありがとうございました。写真を学ぶ学生、写真の撮影や鑑賞を趣味としている方々、2012年度YPに応募された方など、参加者は多様でしたが、選考委員がどのような観点から購入作品を選んだのかを直接聞くことによって、YP鑑賞の面白さが増したと、口ぐちに感想を語られていました。

2011年度ヤング・ポートフォリオ展は、6月24日(日)まで開催中。世界の若手作家の渾身の力作を、ぜひご高覧ください。

尚、5月19日(土)YP公開レセプションの講評ならびに選考委員が自作を語った様子、5月20日(日)ギャラリー・トークの全文は、当館のYPサイトhttp://yp.kmopa.org/ に後日掲載いたします。

文責:広報主任・小川直美 写真:学芸員補・野嵜雄一

細江英公館長がメキシコの大学で芸術名誉賞に

メキシコ最高の教育機関のひとつとされるベラクルス大学。同大学は毎年学術賞を授与しており、2012年の対象分野は芸術と科学でした。
この度当館の館長・細江英公が、写真家として芸術分野での名誉賞を受賞し、科学分野の6名の研究者とともに、現地の式典に出席しました。

<細江英公館長のコメント>

今まで欧米各国ではいくつかの名誉賞を頂きました が、メキシコからは初めてです。しかもベラクルス大学という名門大学からの受賞は大変名誉なことです。
メキシコには私が尊敬する写真家のマヌエル・アルバレス・ブラボがいました。また、 優れた現代写真家のグラシエラ・イトルビデ女史がいます。そのメキシコの 大学から名誉ある芸術賞をいただき、しかも近い将来メキシコ・シティの 「国立映像センター」で大規模な個展を開催したいという知らせも届いています。私は今、これを機会にメキシコの優れた写真家の展覧会を日本で開きたい、清里フォトアートミュージアムを皮切りに巡回できればと願っています。  2012年5月14日 細江英公

★授与式の様子は、下記のベラクルス大学のHPよりご覧ください。
http://www.uv.mx/universo/481/central/central.html


4/7(土)「K・MoPAで星をみる会」を終えて

2012年4月7日(土)午後5:00〜7:00、国立天文台 天文情報センター准教授の縣秀彦氏に講師をお務めいただき、一年ぶりに恒例の観望会を開催しました。



まずは会議室で、来る5月21日にせまった「金環日食」を安全に観測するためのポイントが語られました。本来は日食専用グラスでの観察が望ましいとのこと。代用すると危険なものとして挙げられたのが、黒い下敷き、すすを付けたガラス、サングラスやゴーグル、感光したカラーネガフィルム、カメラ用の偏光フィルター。これらを通して太陽を直視することは大変危険ですので、絶対に行わないようにとのことでした。
このレクチャーために、当館の田村学芸員が「金環日食の観察用に使用できるのでは?」と、意図的に真っ黒に現像したモノクロフィルムについても、縣氏にご意見を伺ってみました。でも、カラーフィルムは危険と言われたばかり。はたしてモノクロフィルムは安全なのでしょうか?


縣:「モノクロフィルムの中にはカーボンというものが含まれています。このカーボンが、私たちの目を傷める紫外線を通しにくい性質をもっているため、現像済みのモノクロフィルムなら安全に使用できます。ただし、たとえこのフィルムであっても2枚重ねて使用することをおすすめします。しっかりと目を覆うサイズのフィルムであることも重要です。小さすぎると、誤って太陽を直視することがありますからね。」


金環日食について丁寧に解説

縣:「安全な観察に必要なことは、第一に、太陽を直視しない。次に、安全な日食専用グラスを使うこと。そして1分観察したら、すぐに目を休めること。日食を長時間みつづけたことが原因で目を痛めてしまう“日食網膜症”にならないように注意してください。とくにお子さんは、必ず保護者か専門家同伴で観察してください。」こうした注意事項が記された国立天文台作成のパンフレットも配布いただきました。

金環日食を安全に観察するために、下記HPをご覧ください。
「2012年金環日食日本委員会」
http://www.solar2012.jp/



「暗くなるのが待ち遠しい!」エントランス前で夕暮れを待つ


徐々に暮れゆく屋外に出たのは午後6時。雲一つない晴天に恵まれ、参加者の期待も大きく膨らみました。


「この明るさでも十分、金星が見えますね」講師の縣秀彦氏(左)


参加者:「先生、超新星は新しい星という意味ですか?」
縣:「そう思う方も多いのですが、命が燃え尽きる寸前の明るい星を超新星といいます。」

参加者:「土星のリングって、何でできているんですか?」
縣:「ほとんどが氷の粒でできています。」
参加者:「オリオン大星雲は?」
縣:「巨大なガス星雲で、その中心は星の生まれる場所。水素でできているんですよ。」

望遠鏡をのぞいて歓声をあげる一人ひとりに、丁寧に説明してくださる縣氏でした。


暗くなりました。K・MoPAを消灯してじっくり星を見ます。

満月が黒々とした森の上に昇りきる前の約一時間半、金星、オリオン大星雲、木星、火星、土星をくっきりとした姿で観望。2月並みの低い気温ではありましたが、「これほどクリアに星座がみえるなんて、さすが天体観測の聖地、清里!」と、一同清里の暗い夜空を大絶賛。
東京、神奈川、山梨県内など各方面から集った様々な世代の老若男女はじめは遠慮がちに質問をしていましたが、満月が昇るころにはすっかり和気あいあいとした雰囲気に包まれ、気が付けば笑いの飛び交う賑やかな会になっていました。
自然の中で世代を超えた交流の場をつくること。それもK・MoPAを表現する一つのキーワードかもしれません。あなたも次回、参加してみませんか?

文責:広報主任・小川直美 / 撮影:学芸員補・野嵜雄一


八ヶ岳ミュージアム協議会公認
「子ども・笑顔・花咲くプロジェクト」による
復興支援活動記録写真展 5/13(日)まで開催中


●東日本大震災復興支援活動記録写真展
●2012年3月24日(土)〜5月13日(日)
●会場:K・MoPAエントランスホール(無料)



早いもので、2011年年3月11日から一年以上が経過しました。
東日本大震災にて亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

昨年の未曾有の大震災と大津波被害による甚大な被害―。
ミュージアムとして、支援のあり方を模索していた矢先、八ヶ岳ミュージアム協議会(山梨県、長野県の美術館など28館が加盟)のメンバーを通して、宮城県のNPOと、その団体が被災前から環境教育による支援を続けている宮城県北部の津波被災地 気仙沼市内の小学校の存在を知ることになりました。 

そのことを機に、「八ヶ岳ミュージアム協議会」の内、当館を含めた有志5館が発起人となり、芸術文化による支援を行う「子ども・笑顔・花咲くプロジェクト」を発足いたしました。そして小学校(全校児童213名)に向けて、絵画や工作、写真ワークショップの出前授業と記録撮影を行ってまいりました。

本展では、昨年6月から10月まで5回、小学校を訪問した折の子どもたちの姿を捉えた30枚の写真を展示しております。撮影は、写真家でもある当館学芸員、学芸員補が行ったものです。
アートの存在が、子どもたちが日常を取り戻すためのの心の栄養になること、そして今年も来年も、息の長い支援を継続することをプロジェクト・メンバー全員が願っております。今年の2月、3月には関連の活動もスタートしました。


関連事業として北杜市内で行ったワークショップ
2012年2月26日「子ども環境フェスタ2012in北杜」/北杜市・高根総合体育館にて


関連事業として行った活動報告会
2012年3月24日 /清里フォトアートミュージアムにて


ぜひ5/13(日)までの会期中に活動記録写真展をご高覧ください。


K・MoPA2Fよりエントランスホールをのぞむ

■「子ども・笑顔・花咲くプロジェクト」■
八ケ岳ミュージアム協議会有志5館(2011年度 50音順)
 ●アルソア記念館「蒼空」(アルソア本社)
 ●えほんミュージアム清里
 ●えほん村
 ●清里フォトアートミュージアム
 ●平山郁夫シルクロード美術館
         
撮影:学芸員・田村泰男、学芸員補・野嵜雄一 / 文責:広報主任・小川直美


K・MoPAコレクションのW.ユージン・スミス作品
東京ミッドタウンに巡回


清里フォトアートミュージアム収蔵のW.ユージン・スミスのオリジナル・プリント作品を
下記に巡回します。約20点が公開される予定ですのでぜひご高覧ください。

●「W. ユージン・スミス作品展」ヒューマニズムに生きた写真家
●会場:FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館 (東京ミッドタウン)
●会期:2012年3月1日(木)〜5月31日(木)
●開館時間:10:00〜19:00(入館は18:50まで)期間中無休
●入場料:無料

★詳細は、下記をご覧ください。
http://fujifilmsquare.jp/detail/12030101.html

本年より一般公開!YPレセプションとギャラリー・トーク
鬼海弘雄氏、都築響一氏、細江英公(館長)が2日連続で語ります


2011年度YP公開レセプション
5月19日(土)午後2:00〜4:00 
出演:2011年度YP購入作家、2011年度選考委員・鬼海弘雄、都築響一、細江英公(館長)
参加費:入館料のみ(一般800円、学生600円、中高生400円)友の会・会員は無料
要予約:住所、氏名、参加人数をお知らせください。


★ご予約された方は、当日の開式15分前までにK・MoPAチケットカウンターにて入館料をお支払いください。
 半券にて午後2時からのレセプションに参加いただけます。

1995年以来、昨年までご招待者のみを迎えて開催しておりました、ヤング・ポートフォリオ作品永久コレクション証書授与式。
本年は、これまで以上に購入作家たちと選考委員、そして若い写真家を応援くださる多くの方々が直接交流を深めることのできる刺激的な場に変えていきたい、という当館スタッフの思いから、本レセプションを一般公開することに致しました。

2011年度の作品購入を記念して、館長の細江英公より作品永久コレクション証書を作家に授与する式典の後、作家が自作を語り、3名の選考委員が講評します。
若い作家たちの生の声、そして第一線で活躍する選考委員が、全応募作品7589枚の中から、なぜこの一枚を永久コレクションとして選んだのか?ミュージアム・コレクションになるということは、作家のとってどんな意味があるのか?熱い思いをお聴きいただける貴重な時間になることでしょう。

また、エントランスホールでは購入作家とご来場された方々が自由に交流いただける機会を設けます。
未来ある若い作家を応援し励ましたいという方、マスコミやギャラリー、出版、学校関係者も大歓迎です。すでにYPを卒業した作家のみなさんも、証書を受けとった当時の感激を思い出してみませんか。どなたでも入館料のみにてご参加いただけますので、どうぞお気軽にご予約ください。


鬼海弘雄氏


都築響一氏


2011年度YP選考風景

レセプションの翌日は、3名の選考委員が2011年度購入作品の前で熱く“写真”を語り合うギャラリー・トークです。
これまで作品購入には至らなかったものの、今後もチャレンジしていきたいという意欲的な方、いよいよYPに初挑戦しようという方、ぜひふるってご来場ください。2日連続で語ってくださる鬼海、都築、館長・細江の三氏からどんな話が飛び出すでしょうか?ご予約不要ですので、どなたでもご来場ください。

2011年度YP選考委員によるギャラリー・トーク
5月20日(日)午後1:00〜3:00
出演:2011年度YP選考委員・鬼海弘雄、都築響一、細江英公(館長)
参加費:入館料のみ(一般800円、学生600円、中高生400円)友の会・会員は無料 
ご予約不要
★当日の開演15分前までに、K・MoPAチケットカウンターにて入館料をお支払いください。
 半券にて午後1時からのトークに参加いただけます。


参加募集!
帰ってきた「K・MoPAで星をみる会」

4月7日(土)午後5:00〜7:00


春の星座を観望 / 2010年の星をみる会

夜空の美しい清里。
東日本大震災による計画停電の影響で、昨年はやむなく中止させていただいた「K・MoPAで星をみる会」が帰ってきました。
国立天文台天文情報センター室長の縣 秀彦氏が、大変ご多忙のなか、K・MoPAファンのために今回も講師をお勤めくださることになりました。
春の星座を見ながら、宇宙の不思議を語っていただく定期観望会。いつか参加したい・・・と思っている方は、この機会にぜひどうぞ!


縣秀彦氏(左)/ 2010年の星をみる会

K・MoPAで星を見る会
4月7日(土) 午後5:00〜7:00
講師:縣 秀彦(国立天文台 天文情報センター准教授)
参加費:1000円 友の会・会員は無料
要予約:住所、氏名、参加人数をお知らせください。
    
●定員:15名


●12/3YP作家トークと4回の額装ワークショップを終えて

2011年12月3日(土)13:00〜15:00、このシーズンの清里には珍しい雨の降る中、K・MoPAで初めての「ヤング・ポートフォリオ」(YP)作家によるトークを、中藤毅彦氏、劉敏史(ゆう みんさ)氏、下薗詠子氏を迎え開催しました。

第一部は、会期中の「Worldwide@Young Portfolio」展に出品したそれぞれの作品の前で山地裕子学芸員と作家が、撮影当時のことを語り合いました。


中藤毅彦氏(写真家) 
YPに応募した作品が7年連続購入となった実力派


下薗詠子氏(写真家) 
昨年、第36回木村伊兵衛写真賞を受賞


劉敏史氏(写真家) 
宇宙や人間の存在を問う作品に取り組む

第二部はガレリアに移動、それぞれの作家が近作をテーブルの上で披露し、作家同士、周りを囲んむ参加者、当館スタッフも交えたフリートークを行いました。
2010年度木村伊兵衛写真賞を受賞した写真集『きずな』ではポートレート作品の印象が強い下薗氏が見せてくれたのは、ラフ・プリントともいえる無数の“撮りたて画像”。体当たりで取り組んでいるモノクロのストリート・スナップは、下薗氏の作家としての進化を強く印象づけるものでした。
劉氏は、加速器(電子や陽子に高い電圧をかけて加速することでエネルギーを与える装置)を捉えた最新作と、そこに至る軌跡ともいえる作品を、そして中藤氏はサハリンを撮影したプリントを持参くださり、YP卒業後に(YPの応募は35歳が上限)一層厚みを増した数々の作品を紹介することができました。


ガレリアで近作を披露

プロフェッショナルとなった3人の作家たちにとって、ギャラリー・トークともポートフォリオ・レヴューとも一味ちがうこの試みは、ありそうでないものの一つだったようです。
「写真を撮る、誰かに見せる、作家自身の言葉で語る、別の誰かが反応する。実はこういう場の共有こそが、写真を愉しむ原点ではないか?」参加者と出演者より、そんな共通の感想をいただいた今回のトーク・イベント。
K・MoPAはこうした催しを、YP作家たちとの新たな交流の幕開けにしたいと考えています。

 このトークの様子は、2012年3月24日(土)よりスタートする「2011年度ヤング・ポートフォリオ」展の会期中に当館ガレリアにて上映いたします。
第一線で活躍する先輩の姿をぜひご覧いただき、35歳以下の方は、「2012年度ヤング・ポートフォリオ」に応募して力試しをしてください!


2011年度YP展会期中に上映します

そして2011年12月10(土)、11(日)、17(土)、18(日)の4日間、13:00〜15:30、当館の田村泰男学芸員による額装ワークショップを行ないました。


田村学芸員によるデモンストレーション

それぞれお気に入りの写真を持ち寄った参加者は、まずマット・ボード(写真などの展示・保存用の厚紙)や額の種類、用具の説明を受けた後に専用のカッターでマットを切り、写真を台紙に止めるまでの行程を行いました。


専用カッターでマットを切る参加者


専用のテープで写真をマットに止める

当館のHPを見てワークショップに参加されたという東京在住のご夫妻は
「カットするときの力の入れ具合によって、どこまでマットが切れているのかという感覚をつかむのが難しかったのですが、こんなに手間をかけて一枚一枚額装されているということがわかり、新鮮な驚きを覚えました。それに額装次第でこんなに作品が神々しく見えるなんて。
今後、展示を鑑賞するときには、いままでとは別の見方をすることになるでしょう。」と、感想を語ってくださいました。


あとはお気に入りの額に入れて完成ですね

数名の方よりいただいた「中級・上級編があればぜひ参加したい」とのご要望にお応えし、次回の開催も検討したいと思います。このインフォメーションにご注目ください。

写真:YP作家トーク 学芸員・田村泰男 / 額装ワークショップ 学芸員補・野嵜雄一
文責:広報主任・小川直美

●2012年度ヤング・ポートフォリオの選考委員、公募期間決定

当館が世界中の若い写真家を支援し、優れた作品を後世に残す活動「ヤング・ポートフォリオ」。
1995年の開館以来、第18回目となる公募「ヤング・ポートフォリオ」の作品募集期間と選考委員を決定しました。

●Web登録および応募作品受付期間:2012年4月15日〜5月15日
●選考委員:川田喜久治、鬼海弘雄、細江英公(館長)

応募資格は1977年1月1日以降生まれの方で、国籍、プロ、アマチュアを問わず、初めて取り組んだ作品も、既発表も問いません。
詳細は、2012年1月中旬以降に下記ヤング・ポートフォリオ専用サイトをご覧ください。
http://yp.kmopa.org/

細江英公館長(談) ―「ヤング・ポートフォリオ」コレクションの意義―

「K・MoPAがヤング・ポートフォリオ(YP)を通して若い写真家の作品を購入しパーマネント・コレクションをすることで、現代を生きる若い写真家たちを励まし、勇気づけたい。
近い将来、YPコレクションを海外に巡回する機会をつくり、作品を広く世界に紹介したいと思います。

欧米での日本人作家への注目は、年々上がって来ています。今後も、日本の写真は、アジアや欧米で新鮮な驚きをもって受け入れられるでしょうし、日本だけでなく、アジア諸国の作品は欧米に強いインパクトを与えることでしょう。
海外でヤング・ポートフォリオ展を実現することをきっかけに、国境を越えた交流が広がり、K・MoPAは、写真家同士の、あるいは写真を愛し、鑑賞する人々との親交を深めるためのセンターの役割を果たすことになると思います。

写真が誕生してからまだ170年。写真家というものは、次々と開発される新しいテクノロジーを駆使しつつ、しかも何ものにもとらわれない自由な発想でクリエイティビティを追求するものであると、そして美術館はそれを支えていく役割を担っていると私は考えています。
カメラという機械を使用して得る画像の再現方法、そして保存方法は時代とともに変化していくでしょう。しかし、一枚の写真(プリント)と向き合い、鑑賞するという行為は、未来においても残ると思います。
ですから、K・MoPAは、100年後、200年後の方々に鑑賞いただくために、若い写真家たちが写真表現と苦闘した彼らの初期作品、オリジナル・プリントをコレクションしているのです。