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開館10周年記念展
「WWII-日本の敗戦: キャパ、スミス、スウォープ、三木淳の写真」


「WWII-日本の敗戦: キャパ、スミス、スウォープ、三木淳の写真」
WWII - Japan's Defeat: Photographs of Capa, Smith, Swope and Miki

会 期 :2005年7月2日(土)〜10月23日(日)
休館日 : 毎週火曜日、6/27〜7/1、(7/2〜8/31は無休)


主催: 清里フォトアートミュージアム
     Kiyosato Museum of Photographic Arts(K'MoPA)
後援:社団法人日本写真協会、社団法人日本写真家協会、山梨県教育委員会

[開催趣旨]


 清里フォトアートミュージアムは、三つの基本理念、「生命(いのち)あるものへの共感」「永遠のプラチナ・プリント」「若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ」に基づき、収集・展示を行っております。
 このたび、清里フォトアートミュージアムでは、収蔵作品から内外の4人の写真家による開館10周年記念展「WWII - 日本の敗戦:キャパ、スミス、スウォープ、三木淳の写真」を開催いたします。



ロバート・キャパ
連合軍による北フランス攻撃開始日、オマハ・ビーチ、
1944年6月6日

[禁無断転載]
Photograph by Robert Capa copyright © 2001 by Cornell Capa / Magnum Photos

W.ユージン・スミス
サイパン山中で、アメリカ兵に発見された、怪我をして瀕死の幼児、1944年6月

[禁無断転載]
© The Heirs of W. Eugene Smith / PPS

 ロバート・キャパの写真は、代表作として知られるノルマンディー上陸作戦をはじめ、イタリア、フランス、ドイツなど第二次大戦末期の欧州戦線。W.ユージン・スミスは、サイパン、沖縄など太平洋戦線を撮影。命の尊厳を訴える数々の写真を撮りますが、沖縄戦の前線で被弾。日本軍の弾丸はカメラを粉砕し、スミスは生涯の傷を負います。ジョン・スウォープは、1945年8月、終戦直後の日本人の表情を捉え、三木淳はシリーズ「赤軍故郷に帰る」でシベリアからの引揚者をドキュメントしました。本展ではこれら4人の写真家のヴィンテージ・プリントを含む157点を展示いたします。


東京収容所・本所、連合軍捕虜の解放、
1945年8月29日

[禁無断掲載]
© John Swope Trust, 1945-2005


ジョン・スウォープ
東京、1945年9月2日

[禁無断掲載]
© John Swope Trust, 1945-2005


 「赤軍故郷に帰る」は三木の『ライフ』誌デビュー作であり、これがきっかけとなって『ライフ』のスタッフ・カメラマンとして採用されます。展示作品は、タイム社に50年余の間保存されていたもので、今回初めての公開となります。4人は、時期を異にしながらも『ライフ』と深く関わり、20世紀におけるグラフ・ジャーナリズム史上最大の成功をおさめた『ライフ』の存在は4人の活躍の舞台であり、大きな背景となっています。


ジョン・スウォープ
静岡県新居町、1945年9月6日

[禁無断掲載]
© John Swope Trust, 1945-2005

オオムラ家の人々、静岡県新居、1945年9月7日

[禁無断掲載]
© John Swope Trust, 1945-2005

 これらの優れた記録のなかでも、ジョン・スウォープの写真はすべて未発表のものです。スウォープは、1955年ニューヨーク近代美術館で開催された「ファミリー・オブ・マン」展の企画で知られる、写真家エドワード・スタイケン率いる米海軍のスペシャル・ユニットの一員として、1945年8月28日駆逐艦ホーキンズで相模湾に到着しました。9月2日、米艦ミズーリ号上で降伏文書に調印する前日、戦後初めて解放された東京・大森の連合軍捕虜収容所を撮影し、9月20日、日本を離れるまでの間、浜松、新居(あらい)、名古屋、仙台、釜石などを訪れ、捕虜の解放をはじめ、空襲を受けた街並み、人で溢れかえる駅・列車や和風旅館でのもてなし、その他一般家庭の生活ぶりについて貴重な記録を写真とエッセイ「日本1945年8月」に残しています。このエッセイは、スウォープの妻、女優ドロシー・マクガイアに宛てて書かれた手紙から本人によって書き起こされたもので、本展図録に、全文を掲載いたします。


三木 淳
シリーズ〈赤軍故郷に帰る〉より
重い長靴を履き、笑顔で桟橋を渡り、日本の土を踏む引揚者 1949年


[禁無断掲載]
© MIKI Yasuko

三木 淳
シリーズ〈赤軍故郷に帰る〉より
息子の死亡通知を受け取りながらも引揚げを待つ母親 1949年

[禁無断掲載]
© MIKI Yasuko


 戦時中、日本人は「米英人は鬼畜であって人間ではない」「見たら殺さなくてはいけない」などと信じ込まされていました。そのため逃げて隠れる子どももいましたが、静岡県新居では、通訳とともに町を歩き、屈託のない笑顔に誘われて一軒の家に入ると、初めて目にする占領軍の写真家であるにもかかわらず、快くもてなされたことに、スウォープは非常に驚きます。写真とエッセイには、勝者として敗者に接する戸惑いを自ら分析しながら、日本人の"微笑"の裏に潜む"真実"を捉えようとする写真家の真摯な眼差しが見えてきます。また、ハリウッドで活躍していたスウォープは、映画のスティル写真と見間違うほどスタイリッシュで壮健な、兵士のポートレイトを撮影しており、従来の"戦争写真"とは異なる独得の魅力を放っています。
 敗戦から60年。戦争や空襲の惨害、そして連合軍の占領下にあった日本社会の姿や動きを記憶する人も少なくなりつつある今、あらためて戦争とは何か、戦後の日本はどのような道を歩んで来たのか、そして現代の国際社会における平和とはどうあるべきなのか 。本展覧会が、外からの目、そして内からの目によって、日本人の歴史感覚を振り返るきっかけの一助ともなれば幸いです。
 本展では、作品展示とともに『ライフ』誌の関連号を資料展示いたします。


展示作品点数
ロバート・キャパ 13
W.ユージン・スミス 9
ジョン・スウォープ 110
三木淳 25
合計 157


資料展示 『ライフ』
1944年8月28日号、1944年12月25日号、1944年11月6日号、1945年4月9日号
1945年6月18日号、1949年3月14日号、1949年7月18日号、1951年9月10日号

展覧会図録
展示作品全157点掲載(モノクロ・ダブルトーン、約220ページ)
掲載原稿:ジョン・スウォープ「日本 1945年8月」
  岡井耀毅「敗戦から始まった戦後日本人」
キャロリン・ピーター「ジョン・スウォープと二つの日本・1945年に撮影された写真によるエッセイ」 他
価格 3,150円(税込)
図録はオンラインショップにて販売中

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