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久保田博二「アジアの肖像:ダイトランスファー・コレクション」


久保田博二「アジアの肖像:ダイトランスファー・コレクション」

会 期 :2009年7月4日(土)〜10月25日(日)まで
休館日 : 毎週火曜日(7,8月は無休、祝日の場合は開館)

展示替え休館:2009年6月29日(月)〜7月3日(金)


主催: 清里フォトアートミュージアム
     Kiyosato Museum of Photographic Arts(K'MoPA)
後援: 山梨県教育委員会
協力: マグナム・フォト東京支社、フォト・ギャラリー・インターナショナル

[開催趣旨]


清里フォトアートミュージアムは、1995年7月の開館以来、三つの基本理念、〈生命 (いのち) あるものへの共感〉〈永遠のプラチナ・プリント〉〈若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ〉に基づき、収集・展示を行っています。

本展覧会について

写真家のヴィジョンと暗室技術のマジック、ダイトランスファー
これ以上美しいカラープリントはもう存在しない。


久保田博二は、写真家集団マグナム唯一の日本人メンバーとして、40余年にわたり多くの国々を取材してきました。なかでも「アメリカと日本」「アジアと日本」は、久保田の重要なテーマとなっています。
本展の第一部では、1978年から2003年までの間の膨大な作品の中から厳選し、約15年にわたってダイトランスファー・プリントという技法で制作された作品48点のほか、「20世紀最後の年にどうしても発表したかった」と1999年に上梓した写真集『アジアの食料』から選んだ作品35点を第二部にて展示いたします。


久保田博二
《ミャンマー、チャイトー》1978年
Kyaikto, Myanmar, 1978
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]

久保田博二
《ミャンマー マンダレー (#1)》1978年
Mandalay (#1), Myanmar, 1978
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]

食の安全をはじめ、食料のサステナビリティは、私たちが現在直面している大きな問題ですが、久保田は21世紀の最大の問題は<食>となると考え、20世紀を終える前にどうしても取り組むべき問題としてアジア各国の取材を敢行しました。アジアにおける<食>をどのように捉えたのか ー アジアの、そして人類の明日を見据えたフォト・ジャーナリストの視座をご覧いただきます。


久保田博二
《中国、杭州》1983年
Hangzhou, China, 1983
[禁無断掲載]

久保田博二
《中国、内蒙古 (#1)》1982年
Inner Mongolia (#1), China 1982
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]

ダイトランスファー・プリントとは、染料転写方式のカラープリントで、イエロー、マゼンタ、シアン、3色の染料を使用し、作業は複雑で、熟練を要するものです。久保田博二のプリント制作を手がけたのは、ダイトランスファー・プリントを50年にわたり制作し、技術の第一人者であるニノ・モンデ氏です。特色を駆使し、6〜9枚のフィルムを刷り重ねることで生み出される深い色調は、通常のカラー・プリントでは再現できないもの。また、制作に必要な材料の生産が終わってしまった今、この技法は絶えようとしています。久保田が"現代の浮世絵師"と呼ぶプリンター、モンデ氏が作家の意図を見事に表現したこれらの作品は、まさに写真家のヴィジョンとプリンターの技のコラボレーションと言えるでしょう。


久保田博二
《中国、喀什》1979年
Kashgar, China, 1979
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]


久保田博二
《北朝鮮 平壌(ピョンヤン) (#1)》1982年
Pyongyang (#1), North Korea, 1982
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]

久保田博二/1939年東京生まれ。1962年早稲田大学卒業後、渡米。65年ニューヨークでフリーランスの写真家として活動を始める。68年に帰国した後、復帰前の沖縄を集中取材。65年に写真家集団「マグナム・フォト」に参加する。75年のサイゴン陥落を機にアジア各地の取材を本格的にスタート。その後も北朝鮮、中国全省、米国全州、東アジア16カ国など、それぞれ数年間をかけた取材を行っている。
2004年には日本全県を4年かけて撮影した『JAPAN』を発表。最近作に『MAGNUM KOREA』(2008)がある。主な写真集に『桂林夢幻』(1982)『中国万華』(1985)『朝鮮名峰:白頭山・金剛山』(1988)『アメリカの肖像』(1992)『Out of the East』(1998)などがある。小田原市在住。

展示内容:
●第一部 ダイトランスファー・コレクション「アジアの肖像」48点
撮影地:中国、インドネシア、ミャンマー、北朝鮮、マレーシア、日本、チベット

●第二部 「アジアと食料 ― Can We Feed Ourselves?」35点
撮影地:ネパール、タイ、カンボジア、ベトナム、中国、インド、バングラデシュ


久保田博二
《中国、内蒙古 (#2)》1982年
Inner Mongolia (#2), China 1982
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]


久保田博二
《中国、桂林(#2)》1979年
Guilin(#2), China, 1979
© Hiroji KUBOTA / Magnum Photos
[禁無断掲載]

マグナム・フォト(Magnum Photos)/第二次大戦後の1947年、ロバート・キャパ、ジョージ・ロジャー、アンリ・カルティエ=ブレッソン、デイヴィッド・シーモア "シム"らが創設した"写真家集団"。
設立メンバーの国籍やバックグラウンドが多種多様であることから「マグナム」の名はシャンペンの大瓶に由来すると言われている。
約50名ほどのフリーランスの写真家による運営で、「報道と芸術の個性的融合」を目指し、ドキュメンタリー写真の最高のレベルを維持すること、メンバーのヴィジョンを伝達するために同等の立場で訴えたいという共通の信念のもと、それぞれが興味を持つ分野において個別のテーマを長期的に追求するユニークな活動を続けている。


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copyright(c)2009・Kiyosato Museum of Photographic Arts