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清里フォトアートミュージアムのコレクション

清里フォトアートミュージアムは、三つの基本理念に基づき、内外の優れた作品を収蔵しています。コレクションの柱となるのは、下記のとおりです。

  1. プラチナ・プリント・コレクション
  2. 世界の若手作家によるヤング・ポートフォリオ  詳細はこちら
  3. 国内外の20世紀以降の作品

ヤング・ポートフォリオ作品は毎年募集いたしますので、総数は変わってまいりますが、2014年現在の全収蔵作品数は約5300点となっています。ヤング・ポートフォリオ作品はすべてオンライン・データベースでご覧いただくことができます。写真作品の他、当館では写真集も多数所蔵しています。

コレクション・ハイライト

プラチナ・プリント・コレクション (全576点)

プラチナ・プリントの発明者であるウイリアム・ウィリスが、1878年英国王立写真協会に公式発表したプラチナ・プリント作品をはじめ、ガートルード・S. ケーゼビア、クラレンス・H. ホワイト、エドワード・ウエストンの初期作品など、20世紀初頭に世界の写真界を席巻したピクトリアリズムの名品を収蔵しています。また、ピーター・ヘンリー・エマーソンの『ノーフォーク湖沼の生活と風景』(Life and Landscape on the Norfolk Broads)、エドワード・S. カーティスによる北米インディアンの記録など写真史における重要な作品、また1970年代、プラチナ・プリントに再注目し、技法復活のきっかけとなったアーヴィング・ペン、同技法の特徴と比類ない魅力を生かした井津建郎など内外の現代作家による作品を多数収蔵しています。プラチナ・プリント技法に着目し、100年以上の時を経ても制作当時と変わらぬ美しさを湛えるヴィンテージ作品からコンテンポラリーまでを収集した当館のコレクションは、内外の写真美術館の中でもユニークなものと評価されています。

25人の20代の写真(全125点)
清里フォトアートミュージアムの開館にあたり、基本理念「若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ」の対象となる若い写真家たちを刺激し、激励するためには何を展示するべきか ??? 検討した結果、日本写真界の第一線で活躍する作家の20代の作品を展示することとなりました。そして、それらの作品を当館がコレクションとして購入いたしました。これらの作品は、清里フォトアートミュージアムが、もしこれらの作家の20代に立ち会ったならば、間違いなく収集を申し入れているに違いない作品ばかりだからです。さらに、いま、写真家を志す若者たちのなかにも、これらの作家の20代に勝るとも劣らない作品を見いだしたいという、私たちの希望も込められています。「ヤング・ポートフォリオ」は、「25人の20代の写真」のいわば後輩にあたる作品群なのです。25人の全作品を掲載した図録には、彼らの20代について、また現代の若者へのエールを込めたエッセイを寄稿していただき、その自筆原稿も保存しています。
収蔵作家:荒木経惟、藤原新也、英 伸三、細江英公、今井寿恵、石元泰博、岩合光昭、川田喜久治、木之下 晃、桑原史成、森山大道、長野重一、内藤正敏、奈良原一高、野町和嘉、大石芳野、篠山紀信、白川義員、高梨 豊、田沼武能、立木義浩、東松照明、富山治夫、土田ヒロミ、横須賀功光
コンサーンド・フォトグラファー / The Concerned Photographer(全161点)

コンサーンド・フォトグラファー(The Concerned Photographer)とは、写真家のコーネル・キャパが6人の写真家(ロバート・キャパ、アンドレ・ケルテス、デイヴィッド・シーモア、ダン・ワイナー、レナード・フリード、ウェルナー・ビショフ)の作品によって構成した展覧会です。同展の作品は後に、コーネル・キャパが初代館長となり、「世界と時代とに積極的に関わっていこうとするすべての写真家を支援し、新しい才能を発掘し、忘れられた作品を保存し、一般に公開する」ことをコレクションの使命と掲げ、発展・発信を続けているニューヨークの写真美術館インターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィー(International Center of Photography)のコレクションの母体となりました。同名の写真集の印刷原稿が後にまとまった形で発見され、当館ではそのほぼすべて(全161点)を収蔵しています。

ロバート・ハイネケン・コレクション / An Artist and His Circle – The Robert Heinecken Collection(全約500点)

ロバート・ハイネケン(アメリカ、1931-2006)は、写真家としての活動と平行して、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて長年写真教育に携り、数多くの写真家を輩出しました。1960年、母校である同大学に芸術学部の講師として勤務を始めたハイネケンは、2年後には写真学科を創立し、以後30年にわたり大きな影響を与えました。ハイネケンの作品は、ベトナム戦争、マスコミ、性表現、女性解放運動、サブカルチャーなどをテーマに、写真を用いたコラージュやモンタージュ、また広告を取り込んだイメージなど、様々なメディアによる実験的かつ挑発的な作品で知られています。当館では、ハイネケンが収集した作品群「ハイネケン・コレクション」全500点余を収蔵しています。その内容は、ハイネケンの教え子たちの作品、またハイネケンと親交のあった多くの写真家たちの作品、そして自身の作品などで構成されています。

ドロシー・ボーン写真書籍コレクション/The Dorothy Bohm Photographic Book Library(全2182点)

ドロシー・ボーンが収集した19世紀から1970年代まで、写真に関するヨーロッパ・アメリカの貴重な書籍、全2182点のコレクション。20世紀の写真史上、重要な写真集が数多く含まれています。ドロシー・ボーンは、1924年、東プロイセンのケーニヒスベルグのユダヤ系リトアニア人家庭に生まれました。ナチズムから逃れ、1939年イギリスへ移住。マンチェスター工科大学を卒業し、市内で人気のあった写真館へ勤務します。1946年、自身の写真館を始めて以降は、世界各地を旅し、撮影を行いました。1971年、現在のThe Photographers’ Gallery(ロンドン)を共同設立。現在もイギリスを代表する女性写真家として、イギリス国内で回顧展が開催されています。2009年より英国王立写真協会の名誉フェロー。2023年、ロンドンにて逝去。
ボーン・コレクションは、データベース化し、館内で閲覧いただけるよう準備中です。同コレクション以外にも、館内ガレリアにおいては、多くの写真集や写真関連書籍を自由にご覧いただけます。また、希少本など閉架の書籍も多数ございますので、どうぞお問い合わせください。

清里フォトアートミュージアム収蔵作家リスト

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作品を守り、伝える

より多くの方にご覧いただくため、当館のコレクションは、国内外の展覧会に出品されることもあります。また、コレクションした作品を良好な状態に保ち、後世に伝えていくため、展示・収蔵環境を常にモニタリングし、作品の保存に配慮しています。

レポート「清里フォトアートミュージアムにおける写真収蔵環境について」
(On the Vault Environment for Preservation of Photographic Collections in Kiyosato Museum of Photographic Arts)
田村泰男学芸員論文「写真収蔵環境について」(PDF・1MB)

収蔵作品は、すべてご予約によって館内でご覧いただくことができます。どうぞお問い合わせください。

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