本年第30回を迎えた「2024年度ヤング・ポートフォリオ」を
2024年10月19日(土) ~ 12月8日(日)まで開催
北欧、ウクライナ、アジアから日本まで、2024年度収蔵作品104点を一堂に展示
コロナ禍以降のニューノーマルや社会問題を見つめ直した作品が多数集結
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、10月19日(土)から12月8日(日)まで「2024年度ヤング・ポートフォリオ」展を開催いたします。
ヤング・ポートフォリオ(YP)とは、K・MoPAが開館以来毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動です。本展では、世界46カ国、459人、9,229点の応募作品から厳選された、22人による104点を展示します。
K・MoPAに結集した若手写真家の情熱を、本展で感じていただければ幸いです。
セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko
■開催概要 |
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展覧会名: | 2024年度ヤング・ポートフォリオ |
会 期: | 2024年10月19日(土)~12月8日(日) |
会 場: | 清里フォトアートミュージアム |
主 催: | 清里フォトアートミュージアム委員会 |
特別協賛: | 真如苑(社会貢献基金) |
開館時間: | 10:00~17:00(入館は16:30まで) |
休 館 日 : | 毎週火曜日 |
入 館 料 : | 一般 800円(600円) 本展に限り35歳以下無料 ( )内は20名様以上の団体料金 |
アクセス: | 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分 J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分 |
■2024年度ヤング・ポートフォリオ(第30回)データ |
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選考委員: | 今 道子、百瀬俊哉、レスリー・キー(一次選考のみ)、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長、特別選考委員) |
作品募集期間: | 2024年1月10日~2月20日 |
応募者数: | 459人(世界46カ国より) 応募点数:9,229点 |
購入者数: | 22人(国内9人・海外13人 /12カ国) 日本/中国/台湾/シンガポール/インド/フィンランド/ウクライナ/ドイツ/トルコ/クロアチア/オランダ/フランス |
購入点数: | 104点(全作品を展示いたします) |
■4人の選考委員の初期作品を展示
今 道子、百瀬俊哉、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)の初期作品、すなわち”選考委員のヤング・ポートフォリオ”作品(全21点)を同時 に展示いたします。
選考風景(左から)百瀬俊哉氏、今 道子氏、瀬戸正人(副館長)
第30回「2024年度ヤング・ポートフォリオ」の見どころ
第30回という節目を迎えたYP2024では、コロナ禍以降のニューノーマルの世界で、自国の文化や社会問題を見つめ直した作品、身近な物事の価値を再認識した作品、国家間の移動が再開され他国での出会いへの喜び、そして戦場からの痛切な思いが込められた作品と、どれも今ここにある「生」と向き合う表現が多く見られました。瀬戸選考委員の「全て皆さんの”初期作品”になるわけですよね。初々しさもあり、荒々しさもあり、不完全なところが実に魅力的だといつも思っています。」という言葉にあるように、若き眼差しの持つ共振力をご覧いただけますと幸いです。
セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)
作家とその友人家族の故郷、ウクライナ南部の州都ミコライウはロシア軍のミサイル攻撃を受け、多くの人と建物が破壊されました。《戦争の刺青》では、変わり果てた故郷の風景をプロジェクターで友人たちの身体に投影して撮影されました。故郷の写真を選ぶ行為は「まるで自分たちを一番苦しめる写真や記憶を選ぶようなもの」であり、苦痛に満ちた記憶が「刺青」のように刻まれたポートレートです。映像と写真を組み合わせる手法が非常に効果的で、戦地の情報だけでは想像し難い、被害を受けている人々の苦しみと痛みがダイレクトに伝わる写真です。
セルゲイ・メルニチェンコ〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko
タハ・アフマド(インド、1994)
《パドラの白鳥の歌》はインドの都市ラクナウでかつて栄えた伝統的な刺繍ムカイシュ・パドラの歴史をリサーチし、わずかに残る職人家族を記録した作品です。インドの複雑な社会構造によって周縁に追いやられたコミュニティーを、ドキュメンタリーとして状況を伝えるだけでなく、静謐で美しい画面構成で鑑賞者を惹き寄せ、被写体へ関心を呼び起こす、写真の力を感じられる作品です。
タハ・アフマド《バドラの白鳥の歌》2016 ⒸTaha Ahmad
カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)
《母と息子》はその名の通り作家自身と母親のポートレート写真です。美術史を振り返ると老いゆく母親と成長した息子を題材とすることは珍しく、ダールカルの鋭い着眼点が発揮されています。この二人には父親の死という共通のトラウマがあり、その経験と向き合う過程で変化していった親子関係が本作の起点となりました。しかし単に親子関係を私的に表すだけでなく、撮影地やライティング、絵画的な構図など、徹底した演出で物語性を高め、”人間の自然な老い”という誰もが直面するテーマを表現することも試みています。
カスパー・ダールカル《サウナ(パパに捧ぐ)、母と息子》2022 ⒸKasper Dalkarl
黄愛(中国、2001)
《KABRALA》はカメラやレンズを使わず、暗室作業のみによって制作された作品です。自身の手や指、髪を用いて、光や現像液による化学反応を操作しながらモノクローム印画紙にさまざまな”顔”を描きます。黄は子供の頃に欠伸発作という突然意識がなくなる症状に悩まされ、周囲から切り離される感覚が本作に大きく影響しています。幼い頃から画家になることを考えていた作家が、写真材料と出会ったことで生まれた作品は、独自性と唯一性に溢れ、写真表現の奥深さを見ることができます。
黄愛《KABRALA》2024 ⒸHuang Ai
カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)
Işık KayaとThomas Georg Blankは2019年よりアーティストユニットとして活動しています。《Second Nature(第二の自然)》は、自然に擬態させるデザインの電波塔を撮影したシリーズです。携帯電話の普及とともに電波塔が世界各地に多数設置され、1992年に松の木を模したデザインが設置されると、それに倣った電波塔が増加し景観は一変しました。作家はこの奇妙な造形物には、テクノロジーと自然、デジタルと物理的な世界との関係性が象徴されていると言います。本作は、現実とフィクションの境界を曖昧にさせ、鑑賞者へ様々な疑問を投げかけてくるでしょう。
カイヤ&ブランク《第二の自然 #89》2020 ⒸKaya & Blank
YP2024作品購入作家
★=過去のヤング・ポートフォリオでも作品を収蔵した作家
1. タハ・アフマド(インド、1994)
2. アマノミツキ(日本、1989)
3. ウェージャン・チャン(シンガポール、1991)
4. オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)★
5. カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)
6. バスティアン・デシャン(フランス、1990)
7. トマ・ヘルジャ(オランダ、2003)
8. 黄愛(中国、2001)
9. 川口 翼(日本、1999)★
10. カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)
11. クガハルミ(日本、1995)★
12. キャン綾菜(日本、1992)
13. 李 若琦 / リ・ワカキ(中国、1996)
14. 李 也曾一 / リー・イェジェンイー(中国、1992)
15. グロリア・リズデ(クロアチア、1991)
16. 丸山達也(日本、1998)
17. セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)
18. 森 凌我(日本、2001)
19. 西山 廉(日本、1995)
20. 大島宗久(日本、1990)
21. 富樫達也(日本、1989)★
22. 吟茜(台湾、1989)
広報用作品
セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko
タハ・アフマド(インド、1994)《バドラの白鳥の歌》2016 ⒸTaha Ahmad
カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)《サウナ(パパに捧ぐ)、母と息子》2022 ⒸKasper Dalkarl
黄愛(中国、2001)《KABRALA》2024 ⒸHuang Ai
カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)《第二の自然 #89》2020 ⒸKaya & Blank
川口 翼(日本、1999)《Breathless》2022 ⒸTsubasa Kawaguchi
吟茜(台湾、1989)〈台湾 夢・遊〉より《魚屋》2024 ⒸUta Akane
キャン綾菜(日本、1992)《裸足でなぞる》2021 ⒸAyana Kyan
グロリア・リズデ(クロアチア、1991)《無題 #4、F20.5》2021 ⒸGlorija Lizde
森 凌我(日本、2001)《獣の影 #4》2023 ⒸRyoga Mori
バスティアン・デシャン(フランス、1990)《遠くへ行きたい #07》2019 ⒸBastien Deschamps
李 也曾一 / リー・イェジェンイー(中国、1992)《ゼイラマン》2023 ⒸLi Ye Zeng Yi
■選考会後の選考委員による対談は、当館ホームページ内「動画のページ」をご覧ください。(約52分)
https://www.kmopa.com/category/video/
■展示内容の詳細は、当館ホームページ内「今後の展示」をご覧ください。
https://www.kmopa.com/category/future/
選考委員略歴
神奈川県に生まれる。創形美術学校版画科卒業後、東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ・アカデミー)にて写真を学ぶ。市場に並ぶ魚や野菜などの食材、靴や帽子といった日常的なモノを組み合わせたオブジェを創り、自然光で撮影してプリントする独自の手法を用いる。その精緻な構成と詩的喚起力に富んだモノクロームの世界は初の写真集『EAT』(1987)以来一貫しており、第16回木村伊兵衛写真賞受賞をはじめ、国内外で高い評価を得ている。2022年神奈川県立近代美術館鎌倉別館にて「フィリアー今 道子」展が開催された。
コメント
「最初の頃は、(自身の)展覧会に目が行っていて、美術館に収蔵されることに、あまり関心がなかったのですが、作品が手元を離れ、評価され、きちんと管理され、保存されることは大事なことと感じています。若いころの作品はエネルギーや新鮮さがあって、今になってはできないことなのですから貴重です。」
東京都生まれ。大型カメラで捉える世界の都市像を”からっぽの風景”と呼び、都市の根底にひっそりと存在する息づかい、「裸の都市」を映像化し、新しい都市論を展開する。1994年、ニューヨークを撮影した〈SILENT CITY〉にて初個展。続いて〈AMERICAN SOUTHWEST〉(1996)、〈ハイパーリアル・トーキョー〉(1997)、〈グランド上海〉(1999)を次々と発表。2002年、第21回土門拳賞受賞。現在、九州産業大学芸術学部写真学科教授。第一回の1995年度YPをはじめ4回にわたり作品を収蔵している。
コメント
「約30年近く前にヤング・ポートフォリオへ応募をしたわけですが、その時は正直、美術館に収蔵されることの重さというのをここまで深くは考えていなかったと思います。年々時が経って、歳を重ねていくうちに、すごく自分の中で重く受け止めるようになって、そこにだいぶ救われてきたなという感じがしています。いろいろな公募がありますが、YPは特殊で、選考していて分かったのですが、かなり自分の世界というものを持ってぶつけてくる必要があるなと思いましたので、それに向けて作品制作を楽しんでもらいたいというのが最も強く感じた点です。」
タイ国ウドーンタニ市に生まれ、後に父の故郷、福島県に移り住む。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ・アカデミー)在学中に森山大道氏に大きな影響を受ける。深瀬昌久氏の助手を務めたのち独立。1987年、自らの発表の場としてギャラリー「PLACE M」を開設し、現在も運営中。第21回木村伊兵衛写真賞受賞。2021年4月清里フォトアートミュージアム副館長に就任。
「薔薇刑」(1963)や「鎌鼬」(1968)など、特異な被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の高い作品により戦後写真の転換期における中心的な存在となる。2003年、英国王立写真協会より創立150周年記念特別勲章を受章したほか、2010年、文化功労者。2017年、写真家として初めて生前に旭日重光章を受章した。1995年より当館初代館長。
関連印刷物&YPデータベース
❶YP2024ポスターパンフレット
各作家の作品数点、選考委員による対談や作品へのコメントを掲載。来館者アンケートにお答えいただいた方には無料で配布いたします。
❷YPデータベースには、過去30年にわたる世界の若手写真家による収蔵作品画像のほか、作家略歴、アーティスト・ステートメントを掲載しています。作家名、収蔵年、国籍などで検索することができます。様々な調査・研究の対象としてもご利用いただければ幸いです。▶︎▶︎▶︎ www.kmopa-yp.com
YP2024選考委員によるポートフォリオ・レヴュー参加者募集
開催日 11月4日(月・振休)
詳しくは当館WEBサイトへ
お問い合わせ
本展の詳細につきましては学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com 、
掲載用画像データにつきましては、info@kmopa.com までご連絡ください。
Tel: 0551-48-5599
ホームページ https://www.kmopa.com
YP募集専用ページ https://www.kmopa.com/yp_entry/
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〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222 清里フォトアートミュージアム
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