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「Platinum Print — 肖像の回廊」展

 

Platinum Print — 肖像の回廊 Platinum Print — 肖像の回廊

開催概要
展覧会名: Platinum Print — 肖像の回廊
会期: 2023年3月18日(土)~5月28日(日)
会場: 清里フォトアートミュージアム
主催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛: 真如苑(社会貢献基金)
開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日: 毎週火曜日、ただし3月21日(火・祝)、5月2日(火)は開館
入館料: 一般800円(600円) 学生600円(400円) 高校生以下無料
( )内は20名様以上の団体料金 家族割引1,200円(2名~6名様まで)
アクセス: 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

「Platinum Print — 肖像の回廊」展を2023年3月18日(土)~5月28日(日)まで開催

 
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、2023年3月18日(土)から5月28日(日)まで「Platinum Print – 肖像の回廊」展を開催いたします。
 
プラチナ・プリントとは、19世紀に発明された古典技法のひとつです。多くの写真技法のなかでも、優美な色調と黒から白までの豊かな階調表現は比類なく、写真家を魅了してきました。
当館では、基本理念のひとつとして、プラチナ・プリントによる作品の収集と技法の継承につとめて参りました。
本展では、1878年制作の最古のプラチナ・プリントから2000年代の作品までを展示いたします。100年に及ぶポートレイトの多様な写真表現をご覧いただくとともに、プラチナ・プリントの気品溢れる優美な色調、繊細な光のグラデーション、ディテールの豊かさをお楽しみください。(約100点)

作品紹介

エドワード・S. カーティス(米、1868-1952)《ズニ族の首長》1905年頃

エドワード・S. カーティス(米、1868-1952)
《ズニ族の首長》1905年頃

ジョージ・H. シーリー(米、1880-1955)《乙女とボウル》1907年

ジョージ・H. シーリー(米、1880-1955)
《乙女とボウル》1907年

アルヴィン・ラングドン・コバーン(米/英、1882-1966)《花輪をかぶった乙女》1908年頃

アルヴィン・ラングドン・コバーン(米/英、1882-1966)
《花輪をかぶった乙女》1908年頃

クラレンス・H. ホワイト(米、1871-1925)《チャールズJr.とアリーン・リーブマン》1910年頃

クラレンス・H. ホワイト(米、1871-1925)
《チャールズJr.とアリーン・リーブマン》1910年頃

アントン・ヨーゼフ・トレチカ(オーストリア/チェコ、1893-1940)《画家エゴン・シーレの肖像》1914年 ©Kicken Berlin

アントン・ヨーゼフ・トレチカ(オーストリア/チェコ、1893-1940)
《画家エゴン・シーレの肖像》1914年 ©Kicken Berlin

エドワード・ウエストン(米、1886-1958)《盲目のひと(ラミエル・マクギー)》1922年

エドワード・ウエストン(米、1886-1958)
《盲目のひと(ラミエル・マクギー)》1922年

ドリス・ウルマン(米、1882-1934)《(無題)》1934年頃

ドリス・ウルマン(米、1882-1934)
《(無題)》1934年頃

ジェリー・N. ユルズマン(米、1934-2022)《無題》1976年 ©Jerry N. Uelsmann

ジェリー・N. ユルズマン(米、1934-2022)
《無題》1976年 ©Jerry N. Uelsmann

ルイス・ゴンサレス・パルマ(グアテマラ、1957-)《無題》1998年 ©Luis González Palma

ルイス・ゴンサレス・パルマ(グアテマラ、1957-)
《無題》1998年 ©Luis González Palma

プラチナ・プリントとは

鉄塩の感光性を利用し、プラチナ(塩化白金)と鉄塩を塗布した印画紙に露光する古典技法のひとつです。暖かみのある優美な色調、漆黒の黒と白の濃淡、階調の豊さ、保存性の高さが特徴です。感光性が低いため、ネガと印画紙を版画のように直接重ねて紫外線で焼き付けます。

20世紀初頭、短命に終わり、戦後甦った技法

プラチナ・プリントは、写真が誕生した1839年よりも前から実験が行われていましたが、イギリスの発明家ウイリアム・ウィリスによって特許が取得されたのは30年以上後の1873年でした。
 
ウィリスが販売した印画紙「プラチノタイプ」は高品質で、欧米で人気を博しましたが、第一次世界大戦時、プラチナが軍需産業の重要な金属として使われるようになり、印画紙の生産は停止され、作品も途絶えてしまいました。また、第二次大戦後は、銀塩の感度の高い印画紙、モノクロのゼラチン・シルバー・プリントが大量生産され、安価で引き伸ばしも可能なため、人々の関心は銀塩へ移ってしまいました。
 

ウイリアム・ウィリス・ジュニア(英、1841-1923)《田舎の小屋 (Rustic Cottage)》1878年

ウイリアム・ウィリス・ジュニア(英、1841-1923)
《田舎の小屋 (Rustic Cottage)》1878年

アーヴィング・ペンにより甦った技法

写真史上、遅れて登場し、最も美しいと愛された技法でありながら、あまりにも早く去ったプラチナ・プリント。一方、戦後の均一生産化したモノクロ印画紙に対して、個性的な表現技法を求め、その復活に困難をためらわずに情熱を注いたのが、アメリカの写真家アーヴィング・ペン(1917-2009)でした。1960年代後半より、ペンによって現代的な息吹を与えられたプラチナ・プリント作品が次々と発表されました。
 
ペンは、象徴的な言葉を残しています。「私は何年もの間、黙々と刷毛で感光剤を塗り、印画紙を一枚一枚用意してきた。何千時間と費やしたはずだ。完璧なプリントに到達することを目指して。」現在も既成の印画紙はなく、手塗りの技法が継承されています。本展ではペンによる作品7点を展示いたします。
 

アーヴィング・ペン(米、1917-2009)《マルセル・デュシャン、ニューヨーク》1948年 ©The Irving Penn Foundation

アーヴィング・ペン(米、1917-2009)
《マルセル・デュシャン、ニューヨーク》1948年
©The Irving Penn Foundation

見どころ

プラチナ・プリントは、いったん現像すると経年による変化はありません。私たちは撮影・現像時と全く変わらない写真と対面することができるのです。写真には撮影時の「光」と「時間」、そして写真家と被写体となった人々との「関係性」が封じ込められています。100年前の写真に刻まれた人々との出会い、そして彼らと向き合った写真家の眼差しは、時空を超えて、鑑賞者に濃密な体験をもたらすでしょう。

会期中の特別展

●ヴィヴィッドな発色が特徴のダイトランスファー技法による作品
ハロルド・エジャートン博士(米、1903-1990)の代表作10点(当館蔵)をご覧いただきます。エジャートン博士はストロボの発明者で、世界で初めて静止画像を捉えた“ミルクの王冠”で知られています。ダイトランスファーは、色鮮やかで保存性に優れたカラープリントでありながら、途絶えてしまった技法のひとつです。
 

ハロルド・エジャートン博士《ミルク・クラウン》1957年 © Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ハロルド・エジャートン博士《ミルク・クラウン》1957年
© Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ハロルド・エジャートン博士《りんごを突き抜ける30口径(7.62ミリ)の弾丸》1964年 © Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ハロルド・エジャートン博士《りんごを突き抜ける30口径(7.62ミリ)の弾丸》1964年
© Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ダイトランスファーとは:
ヴィヴィッドな発色としっとりと濡れたような質感が特徴のカラープリント技法です。
1946年にコダック社が発表したもので、染料転写方式プリントとも呼ばれます。
シアン、マゼンタ、イエロー各色の染料を含ませたマトリックスフィルムを、1枚の乳剤(ゼラチン)層に転染することによって画像を形成します。
安定性に優れ、写真家が最終的な色のバランスをコントロールすることができます。しかし、転染紙に見当を合わせて手作業で塗り重ねる作業は複雑で、熟練を要するものでした。そのため、希少価値の高いものとして、20世紀後半、多くのアーティストやコレクターを魅了しましたが、材料の生産終了にともない、1993年に途絶えてしまいました。

会期中のワークショップ

●瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ 2023年も開催
高校1~3年生対象。個人、学校単位、どちらのご参加も自由です。
生徒が持参した作品データをプロジェクターに投影し、副館長の瀬戸正人(写真家)が講評をおこなう2時間のWSです。
2022年は全3回開催し、生徒自身が展示作業も経験。10名の作品を当館エントランスホールにて発表しました。
 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年

 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年

 
●WSの様子を公開中 → https://www.kmopa.com/category/highschool/
●WS動画はこちら → https://youtu.be/fDGNIB1R2p8(QRコードからもアクセスできます)
 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年(動画サムネイル)

 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年(動画のQRコード)

 
2023年のWS開催スケジュールは随時ウェブサイトにアップします。

次回展示のご案内

展覧会:「鉄道愛」
会期:2023年7月7日(金)~9月24日(日)
アメリカ最後の蒸気機関車の姿をとらえたO. ウインストン・リンク(1914-2001)と、日本を代表する鉄道写真家、広田尚敬(1936-)。当館収蔵作品より元祖「撮り鉄」の2人を紹介するほか、元国鉄マン・滝口忠雄が、職員の目線でとらえた70年代の「国鉄」、清里を走る高原列車・小海線など、鉄道愛あふれる写真展。特別編として「ねこ鉄」、また、1920-30年代アメリカ山岳鉄道をテーマとした精巧なジオラマも初公開。
 

O. ウインストン・リンク 《ナチュラル・ブリッジ駅に到着する列車No.2 バージニア州》1956年 Train No.2 Arrives at Natural Bridge Station, Virginia, 1956 © O. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

O. ウインストン・リンク
《ナチュラル・ブリッジ駅に到着する列車No.2 バージニア州》1956年
Train No.2 Arrives at Natural Bridge Station, Virginia, 1956
© O. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

お問い合わせ

本展の詳細は学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com
画像データにつきましては、info@kmopa.comTel: 0551-48-5599 までお問い合わせください。
 
ホームページ https://www.kmopa.com
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清里フォトアートミュージアム Kiyosato Museum of Photographic Arts
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
Tel: 0551-48-5599 (代表) Fax: 0551-48-5445 Email: info@kmopa.com

 

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