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2024年度ヤング・ポートフォリオ展

 

本年第30回を迎えた「2024年度ヤング・ポートフォリオ」を
2024年10月19日(土) ~ 12月8日(日)まで開催

 
北欧、ウクライナ、アジアから日本まで、2024年度収蔵作品104点を一堂に展示
コロナ禍以降のニューノーマルや社会問題を見つめ直した作品が多数集結

 
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、10月19日(土)から12月8日(日)まで「2024年度ヤング・ポートフォリオ」展を開催いたします。
ヤング・ポートフォリオ(YP)とは、K・MoPAが開館以来毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動です。本展では、世界46カ国、459人、9,229点の応募作品から厳選された、22人による104点を展示します。
K・MoPAに結集した若手写真家の情熱を、本展で感じていただければ幸いです。
 
 

「2024年度ヤング・ポートフォリオ」展のフライヤー表面の画像。今年度のデザインは黄色地に黒文字。抜粋した購入作品の画像が7枚並ぶ

 

「2024年度ヤング・ポートフォリオ」展のフライヤー裏面の画像。裏面は白地。購入作家名一覧、選考委員、美術館の利用案内(入館料など)、表面とは違う購入作品の画像が8枚

 

セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko

セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko

 
 
 

開催概要

展覧会名: 2024年度ヤング・ポートフォリオ
会  期: 2024年10月19日(土)~12月8日(日)
会  場: 清里フォトアートミュージアム
主  催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛: 真如苑(社会貢献基金)
開館時間: 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休 館 日 : 毎週火曜日
入 館 料 : 一般 800円(600円) 本展に限り35歳以下無料
( )内は20名様以上の団体料金
アクセス: 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

 
 
 

2024年度ヤング・ポートフォリオ(第30回)データ

選考委員: 今 道子、百瀬俊哉、レスリー・キー(一次選考のみ)、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長、特別選考委員)
作品募集期間: 2024年1月10日~2月20日
応募者数: 459人(世界46カ国より) 応募点数:9,229点
購入者数: 22人(国内9人・海外13人 /12カ国)
日本/中国/台湾/シンガポール/インド/フィンランド/ウクライナ/ドイツ/トルコ/クロアチア/オランダ/フランス
購入点数: 104点(全作品を展示いたします)

 
 
 

4人の選考委員の初期作品を展示

今 道子、百瀬俊哉、瀬戸正人(副館長)の初期作品、すなわち”選考委員のヤング・ポートフォリオ”作品(全16点)を同時 に展示いたします。
 

選考風景(左から)百瀬俊哉氏、今 道子氏、瀬戸正人(副館長)

選考風景(左から)百瀬俊哉氏、今 道子氏、瀬戸正人(副館長)

 
 
1995年の開館以来、清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)の館長を務めておりました細江英公が、2024年9月16日(月)、91歳で永眠いたしました。
2024年度ヤング・ポートフォリオ(YP)展(第30回)では、YPの創設者であり、選考委員長としてすべての応募作品に目を通してきた細江英公館長を偲び、初期作品より「ポーディちゃん」、「おとこと女」、そして「薔薇刑」、「鎌鼬」(ポスター/横尾忠則デザイン)全10点を展示いたします。
 

ポートレート。細江英公 ©Jean-Baptiste Huynh

細江英公 ©Jean-Baptiste Huynh

 

作品画像。細江英公《ポーディちゃん》 1950年 ⒸEikoh Hosoe

細江英公《ポーディちゃん》
1950年 ⒸEikoh Hosoe

 

作品画像。細江英公《薔薇刑 作品32》 1961年 ⒸEikoh Hosoe

細江英公《薔薇刑 作品32》
1961年 ⒸEikoh Hosoe

 
 
 
 

第30回「2024年度ヤング・ポートフォリオ」の見どころ

第30回という節目を迎えたYP2024では、コロナ禍以降のニューノーマルの世界で、自国の文化や社会問題を見つめ直した作品、身近な物事の価値を再認識した作品、国家間の移動が再開され他国での出会いへの喜び、そして戦場からの痛切な思いが込められた作品と、どれも今ここにある「生」と向き合う表現が多く見られました。瀬戸選考委員の「全て皆さんの”初期作品”になるわけですよね。初々しさもあり、荒々しさもあり、不完全なところが実に魅力的だといつも思っています。」という言葉にあるように、若き眼差しの持つ共振力をご覧いただけますと幸いです。

 
 
 

セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)
作家とその友人家族の故郷、ウクライナ南部の州都ミコライウはロシア軍のミサイル攻撃を受け、多くの人と建物が破壊されました。《戦争の刺青》では、変わり果てた故郷の風景をプロジェクターで友人たちの身体に投影して撮影されました。故郷の写真を選ぶ行為は「まるで自分たちを一番苦しめる写真や記憶を選ぶようなもの」であり、苦痛に満ちた記憶が「刺青」のように刻まれたポートレートです。映像と写真を組み合わせる手法が非常に効果的で、戦地の情報だけでは想像し難い、被害を受けている人々の苦しみと痛みがダイレクトに伝わる写真です。

セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko

セルゲイ・メルニチェンコ〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko

 
 
 

タハ・アフマド(インド、1994)
《パドラの白鳥の歌》はインドの都市ラクナウでかつて栄えた伝統的な刺繍ムカイシュ・パドラの歴史をリサーチし、わずかに残る職人家族を記録した作品です。インドの複雑な社会構造によって周縁に追いやられたコミュニティーを、ドキュメンタリーとして状況を伝えるだけでなく、静謐で美しい画面構成で鑑賞者を惹き寄せ、被写体へ関心を呼び起こす、写真の力を感じられる作品です。

タハ・アフマド(インド、1994)《バドラの白鳥の歌》2016 ⒸTaha Ahmad

タハ・アフマド《バドラの白鳥の歌》2016 ⒸTaha Ahmad

 
 
 

カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)
《母と息子》はその名の通り作家自身と母親のポートレート写真です。美術史を振り返ると老いゆく母親と成長した息子を題材とすることは珍しく、ダールカルの鋭い着眼点が発揮されています。この二人には父親の死という共通のトラウマがあり、その経験と向き合う過程で変化していった親子関係が本作の起点となりました。しかし単に親子関係を私的に表すだけでなく、撮影地やライティング、絵画的な構図など、徹底した演出で物語性を高め、”人間の自然な老い”という誰もが直面するテーマを表現することも試みています。

カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)《サウナ(パパに捧ぐ)、母と息子》2022 ⒸKasper Dalkarl

カスパー・ダールカル《サウナ(パパに捧ぐ)、母と息子》2022 ⒸKasper Dalkarl

 
 
 

黄愛(中国、2001)
《KABRALA》はカメラやレンズを使わず、暗室作業のみによって制作された作品です。自身の手や指、髪を用いて、光や現像液による化学反応を操作しながらモノクローム印画紙にさまざまな”顔”を描きます。黄は子供の頃に欠伸発作という突然意識がなくなる症状に悩まされ、周囲から切り離される感覚が本作に大きく影響しています。幼い頃から画家になることを考えていた作家が、写真材料と出会ったことで生まれた作品は、独自性と唯一性に溢れ、写真表現の奥深さを見ることができます。

黄愛(中国、2001)《KABRALA》2024 ⒸHuang Ai

黄愛《KABRALA》2024 ⒸHuang Ai

 
 
 

カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)
Işık KayaとThomas Georg Blankは2019年よりアーティストユニットとして活動しています。《Second Nature(第二の自然)》は、自然に擬態させるデザインの電波塔を撮影したシリーズです。携帯電話の普及とともに電波塔が世界各地に多数設置され、1992年に松の木を模したデザインが設置されると、それに倣った電波塔が増加し景観は一変しました。作家はこの奇妙な造形物には、テクノロジーと自然、デジタルと物理的な世界との関係性が象徴されていると言います。本作は、現実とフィクションの境界を曖昧にさせ、鑑賞者へ様々な疑問を投げかけてくるでしょう。

カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)《第二の自然 #89》2020 ⒸKaya & Blank

カイヤ&ブランク《第二の自然 #89》2020 ⒸKaya & Blank

 
 
 
 

YP2024作品購入作家

=過去のヤング・ポートフォリオでも作品を収蔵した作家
 
1. タハ・アフマド(インド、1994)
2. アマノミツキ(日本、1989)
3. ウェージャン・チャン(シンガポール、1991)
4. オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)
5. カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)
6. バスティアン・デシャン(フランス、1990)
7. トマ・ヘルジャ(オランダ、2003)
8. 黄愛(中国、2001)
9. 川口 翼(日本、1999)
10. カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)
11. クガハルミ(日本、1995)
12. キャン綾菜(日本、1992)
13. 李 若琦 / リ・ワカキ(中国、1996)
14. 李 也曾一 / リー・イェジェンイー(中国、1992)
15. グロリア・リズデ(クロアチア、1991)
16. 丸山達也(日本、1998)
17. セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)
18. 森 凌我(日本、2001)
19. 西山 廉(日本、1995)
20. 大島宗久(日本、1990)
21. 富樫達也(日本、1989)
22. 吟茜(台湾、1989)

 
 
 
 

広報用作品

セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko

セルゲイ・メルニチェンコ(ウクライナ、1991)〈戦争の刺青〉シリーズより《ミコライウの爆撃されたアパートのプロジェクションとアントン #4》2023 ⒸSergey Melnitchenko

 
 

タハ・アフマド(インド、1994)《バドラの白鳥の歌》2016 ⒸTaha Ahmad

タハ・アフマド(インド、1994)《バドラの白鳥の歌》2016 ⒸTaha Ahmad

 
 

カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)《サウナ(パパに捧ぐ)、母と息子》2022 ⒸKasper Dalkarl

カスパー・ダールカル(フィンランド、1991)《サウナ(パパに捧ぐ)、母と息子》2022 ⒸKasper Dalkarl

 
 

黄愛(中国、2001)《KABRALA》2024 ⒸHuang Ai

黄愛(中国、2001)《KABRALA》2024 ⒸHuang Ai

 
 

カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)《第二の自然 #89》2020 ⒸKaya & Blank

カイヤ&ブランク(トルコ、ドイツ、1990)《第二の自然 #89》2020 ⒸKaya & Blank

 
 

川口 翼(日本、1999)《Breathless》2022 ⒸTsubasa Kawaguchi

川口 翼(日本、1999)《Breathless》2022 ⒸTsubasa Kawaguchi

 
 

吟茜(台湾、1989)〈台湾 夢・遊〉より《魚屋》2024 ⒸUta Akane

吟茜(台湾、1989)〈台湾 夢・遊〉より《魚屋》2024 ⒸUta Akane

 
 

キャン綾菜(日本、1992)《裸足でなぞる》2021 ⒸAyana Kyan

キャン綾菜(日本、1992)《裸足でなぞる》2021 ⒸAyana Kyan

 
 

グロリア・リズデ(クロアチア、1991)《無題 #4、F20.5》2021 ⒸGlorija Lizde

グロリア・リズデ(クロアチア、1991)《無題 #4、F20.5》2021 ⒸGlorija Lizde

 
 

森 凌我(日本、2001)《獣の影 #4》2023 ⒸRyoga Mori

森 凌我(日本、2001)《獣の影 #4》2023 ⒸRyoga Mori

 
 

バスティアン・デシャン(フランス、1990)《遠くへ行きたい #07》2019 ⒸBastien Deschamps

バスティアン・デシャン(フランス、1990)《遠くへ行きたい #07》2019 ⒸBastien Deschamps

 
 

李 也曾一 / リー・イェジェンイー(中国、1992)《ゼイラマン》2023 ⒸLi Ye Zeng Yi

李 也曾一 / リー・イェジェンイー(中国、1992)《ゼイラマン》2023 ⒸLi Ye Zeng Yi

 
 
 
 

選考会後の選考委員による対談・レセプションは、当館ホームページ内「動画のページ」をご覧ください。https://www.kmopa.com/category/video/

’24ヤング・ポートフォリオ 選考委員 座談会(約52分) ’24ヤング・ポートフォリオ レセプション(約14分)  
 
 

展示内容の詳細は、当館ホームページ内「チラシと報道資料」をご覧ください。https://www.kmopa.com/category/press/

展覧会の詳細(PDFファイル) 展覧会チラシ(A4両面カラー・PDFファイル)

 
 
 
 

選考委員略歴

今道子
今 道子(日本、1955-)
神奈川県に生まれる。創形美術学校版画科卒業後、東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ・アカデミー)にて写真を学ぶ。市場に並ぶ魚や野菜などの食材、靴や帽子といった日常的なモノを組み合わせたオブジェを創り、自然光で撮影してプリントする独自の手法を用いる。その精緻な構成と詩的喚起力に富んだモノクロームの世界は初の写真集『EAT』(1987)以来一貫しており、第16回木村伊兵衛写真賞受賞をはじめ、国内外で高い評価を得ている。2022年神奈川県立近代美術館鎌倉別館にて「フィリアー今 道子」展が開催された。
コメント
「最初の頃は、(自身の)展覧会に目が行っていて、美術館に収蔵されることに、あまり関心がなかったのですが、作品が手元を離れ、評価され、きちんと管理され、保存されることは大事なことと感じています。若いころの作品はエネルギーや新鮮さがあって、今になってはできないことなのですから貴重です。」

 
 

百瀬俊哉
百瀬俊哉(日本、1968-)
東京都生まれ。大型カメラで捉える世界の都市像を”からっぽの風景”と呼び、都市の根底にひっそりと存在する息づかい、「裸の都市」を映像化し、新しい都市論を展開する。1994年、ニューヨークを撮影した〈SILENT CITY〉にて初個展。続いて〈AMERICAN SOUTHWEST〉(1996)、〈ハイパーリアル・トーキョー〉(1997)、〈グランド上海〉(1999)を次々と発表。2002年、第21回土門拳賞受賞。現在、九州産業大学芸術学部写真学科教授。第一回の1995年度YPをはじめ4回にわたり作品を収蔵している。
コメント
「約30年近く前にヤング・ポートフォリオへ応募をしたわけですが、その時は正直、美術館に収蔵されることの重さというのをここまで深くは考えていなかったと思います。年々時が経って、歳を重ねていくうちに、すごく自分の中で重く受け止めるようになって、そこにだいぶ救われてきたなという感じがしています。いろいろな公募がありますが、YPは特殊で、選考していて分かったのですが、かなり自分の世界というものを持ってぶつけてくる必要があるなと思いましたので、それに向けて作品制作を楽しんでもらいたいというのが最も強く感じた点です。」

 
 

瀬戸正人
瀬戸正人(タイ/日本、1953-)
タイ国ウドーンタニ市に生まれ、後に父の故郷、福島県に移り住む。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ・アカデミー)在学中に森山大道氏に大きな影響を受ける。深瀬昌久氏の助手を務めたのち独立。1987年、自らの発表の場としてギャラリー「PLACE M」を開設し、現在も運営中。第21回木村伊兵衛写真賞受賞。2021年4月清里フォトアートミュージアム副館長に就任。

 
 

細江英公
細江英公(日本、1933-)
「薔薇刑」(1963)や「鎌鼬」(1968)など、特異な被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の高い作品により戦後写真の転換期における中心的な存在となる。2003年、英国王立写真協会より創立150周年記念特別勲章を受章したほか、2010年、文化功労者。2017年、写真家として初めて生前に旭日重光章を受章した。1995年より当館初代館長。

 
 
 

関連印刷物&YPデータベース

YP2024ポスターパンフレット
各作家の作品数点、選考委員による対談や作品へのコメントを掲載。来館者アンケートにお答えいただいた方には無料で配布いたします。
 
YPデータベースには、過去30年にわたる世界の若手写真家による収蔵作品画像のほか、作家略歴、アーティスト・ステートメントを掲載しています。作家名、収蔵年、国籍などで検索することができます。様々な調査・研究の対象としてもご利用いただければ幸いです。▶︎▶︎▶︎ www.kmopa-yp.com

 
 
 

YP2024選考委員によるポートフォリオ・レヴュー参加者募集

開催日 11月4日(月・振休)
詳しくは当館WEBサイトへ

 
 
 

お問い合わせ

本展の詳細につきましては学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com
掲載用画像データにつきましては、info@kmopa.com までご連絡ください。

 
Tel: 0551-48-5599
ホームページ  https://www.kmopa.com
YP募集専用ページ  https://www.kmopa.com/yp_entry/
X(旧ツイッター)  https://www.twitter.com/kmopa
フェイスブック  https://www.facebook.com/kmopa
インスタグラム  https://www.instagram.com/kmopa2024/
 
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222 清里フォトアートミュージアム
Tel: 0551-48-5599(代表)  Fax: 0551-48-5445  Email: info@kmopa.com

9/7(土)4つのイベントを終えて ロバート・フランク生誕100周年記念展

 

<金村修×タカザワケンジ>

14:00~15:00、9月の爽やかな空気のなか、金村修(写真家)× タカザワケンジ(写真家、写真評論家)『挑発する写真史』の著者2人をお招きし、当館ガーデンにてロバート・フランクの作品の魅力を語っていただきました。
 
 
金村&タカザワ
 
 
「孤独、虚無、自ら選んでアウトサイダーの側に立ったフランクの視点で捉えたアメリカの姿は、決して押しつけることはないものの、見る人が自分自身で考えるように仕向けられていて、これってどういうことなんだろう、と考え始めた瞬間に、もうフランクの仕掛けた罠にハマっている」(金村)
 
フランクがよくモチーフにしていたジュークボックスについても言及し「ジュークボックスを見ると、『あ。フランクだ』と思って自分も撮影してみるんだけど、どう撮ろうとやっぱりフランクになってしまう。しかも絶対に超えられない。そういう写真家とモチーフの関係性ってあるよね」(金村)
 
 
金村
 
 
「詩的」と表現されるフランクの作品。とくに写真集に顕著な比類ない編集力を紐解き、さらにはフランク自身がのめりこんだのではないかと思われる〝自身の作品を編集することの魔力″、フランクが写真、映像、写真と表現を変化していったことについてなど、タカザワ氏の絶妙な問いと解説をトリガーに、金村氏が縦横にフランク作品の魅力を語ってくださいました。
 
 
タカザワ
 
金村&タカザワ客席
 
 
 


 
 
 

<プリント・ヴューイング>

13:00~13:50、そして15:30~16:30には、当館の瀬戸正人副館長のトークと山地学芸員の解説による、当館収蔵のロバート・フランク作品のプリント・ヴューイングを行いました。各回とも定員を超える参加者の熱気に包まれた一時間。
 
「こんなに作品を間近に見る機会はないです。学生たちも、本当に勉強になったと喜んでいます」と、東京ヴィジュアルアーツ・アカデミーと大阪芸術大学の学生を引率くださったYPOBでもある写真家の元田敬三氏より、感謝の言葉をいただきました。会場の様子をご覧ください。
 
 
プリント・ヴューイング
 
プリント・ヴューイング
 
プリント・ヴューイング

金村修氏、タカザワケンジ氏も参加くださいました

 
 
 


 
 
 

<スライドショー>

ロバート・フランク生誕100周年記念展の最後を飾ったのは、18:15~19:15に開催したトヨダヒトシ氏によるスライドショー。ニューヨークでのフランクとの交流、「彼の部屋の、ものづくりをしている気配」(トヨダ)、そして映像から写真の世界に戻った頃のフランクの作品に影響を受けたというトヨダ氏の静かな語りの後、無音のスライドショーが始まりました。
 
 
スライドショー
 
スライドショー
 
 
「旅をやめ、日記をつけるように写真を撮り始めた頃からの5年の月日を三部構成で綴った映像日記第一作」(トヨダ)。
 
 
スライドショー
 
スライドショー
 
 
すこしずつ冷えてゆくガーデンの澄んだ空気、夕暮れから暗闇に変わりゆくあわいの樹々の影、トヨダ氏の映像日記に呼応するかのように響く虫の音―。
ライブ終了の挨拶をされるトヨダ氏の背後からは、時折、鹿の鳴き声も聞こえました。
不思議な浮遊感と余韻に満ちたライブに、お客様から深い感動の声が多く寄せられました。
 
 
スライドショー
 
 

<上映作品>

「An Elephant`s Tail ―ゾウノシッポ」(1998-2024 / 35mm slide film / 40min / silent)
1992年、ニューヨーク/窓からの眺め/エンパイア・ステイト・ビル最上階で働いていた/迷い込んできた猫との生活/川面の光/自分はここで一体何をしているのか/明け方の街/「日常」の力を教えてくれた人/ブルックリン北端の町で/冬へ/失ったもの/風景
 
午後から日暮れにかけての4つのイベントにご来場いただいたみなさま、誠にありがとうございました。
 
 
上映作品

右から:トヨダヒトシ氏、タカザワケンジ氏、金村修氏、小松浩子氏(写真家)

 
 
 
ロバート・フランク生誕100周年記念展
「もう一度、写真の話をしないか。フランクと同時代の作家たち」

会期:2024年9月29日(日)まで
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週火曜日

ロバート・フランク生誕100周年記念展 8,9月の関連イベント「もう一度、写真の話をしないか。」

たった一度きりのロバート・フランク生誕100周年を記念し、8,9月にイベントを開催いたします。
※トーク・イベントは、9月7日(土)に開催いたします。 
  展覧会チラシでは9月8日(日)とご案内しておりましたが、訂正いたします。

 参加費は、入館料(一般800円/大学生以下無料)のみ。
※プリント・ヴューイングは、ご予約が必要です。

イベント案内のチラシは、こちらから閲覧・ダウンロードできます。(A4両面カラー・PDFファイル)
オレンジのボタンリンクより、ブラウザの保存機能を利用してダウンロードしてください。

ロバート・フランク100周年記念展 <イベントチラシ>

 

9/7(土)
金村修(写真家)× タカザワケンジ(写真家、写真評論家)

『挑発する写真史』の著者2人がフランクを語る

    • 第一部:14:00〜14:40 @ガーデン(雨天の場合展示室)
      予約不要

 

金村修
1964年東京都生まれ。
1992年、東京綜合写真専門学校在校中にオランダ・ロッテルダム
写真ビエンナーレに招聘され、
1996年、MOMAによる「世界の注目される6人の写真家」の
1人に選出される。
2000年「トップランナー」(NHK)、
2001年「情熱大陸」(毎日放送)出演。
1997年、日本写真協会新人賞、第13回東川町国際写真フェスティバル新人作家賞、
2000年、第19回土門拳賞、2014年、第39回伊奈信男賞を受賞。
写真集に『Spider’s Strategy』『I can tell』『Concrete Octopus』ほか、
著書に『漸進快楽写真家』。タカザワケンジとの共著『挑発する写真史』がある。

金村修 ポートレート

タカザワケンジ
1968年群馬県生まれ。写真評論家。
IG Photo Galleryディレクター。
著書に『挑発する写真史』(金村修との共著平凡社)、
「偶然の写真史』『Someone’s watching me』、
『昨日のウクライナ』(以上triplet)ほか。
ヴァル・ウィリアムズ著『Study of PHOTO: 名作が生まれるとき』
(ビー・エヌ・エヌ新社)日本語版監修。
WebマガジンPhoto & Culture, Tokyoで写真集編集についての
連載「写真を編む人へ」を行う。
評論のほか写真作品の制作も行ない、「非写真家」シリーズを東京、名古屋、台湾で発表。

タカザワケンジ ポートレート


 

    • 第二部:
      プリント・ヴューイング
      (当館蔵のロバート・フランクの初期作品15点など)
      15:30〜16:30
      要予約:先着20人
      *上記、定員に達しましたので、急遽、13:00~13:40に追加で開催いたします。

(15:30~の会と同じ内容になります)

8/10(土)以降にご予約の場合は、この時間帯にてご検討ください。

 


 

    • 第三部:
      トヨダヒトシ Visual Diary / Slideshow
      上映作品「An Elephant`s Tail ―ゾウノシッポ」
      (1998-2024 / 35mm slide film / 40min / silent)

      1992年、ニューヨーク/窓からの眺め/エンパイア・ステイト・ビル最上階で働いていた/迷い込んできた猫との生活/
      川面の光/自分はここで一体何をしているのか/明け方の街/「日常」の力を教えてくれた人/ブルックリン北端の町で/
      冬へ/失ったもの/風景

      旅をやめ、日記をつけるように写真を撮り始めた頃からの5年の月日を三部構成で綴った映像日記第一作。

      開催時間 → 17:45~19:00頃
      @ガーデン(雨天の場合屋内)
      要予約:先着50人 お申し込み受付中

 

トヨダヒトシ
1963年ニューヨーク生まれ、東京で育つ。
1990年よりニューヨークを拠点にし、
ブロードウェイ沿いの駐車場やチャイナタウンの公園、教会、劇場といった
パブリックスペースにおいて、アナログのスライド映写機を自ら操作し上映する
ライブスライドショーという形式で映像日記作品を発表しはじめる。
2000年より日本各地の美術館やギャラリーといったアートスペース、
山奥の廃校になった小学校の校庭、三内丸山遺跡、米国各地の映画祭・芸術祭、
また「ヨコハマトリエンナーレ2014」などで上映を続けている。
2012年より日本に拠点を移す。

広島市現代美術館
広島市現代美術館

青森県立美術館_三内丸山遺跡
青森県立美術館_三内丸山遺跡

★ご予約はこちら↓
kmopa@kmopa.com  TEL. 0551-48-5599
日時、参加人数、代表者のお名前と連絡先メールをお知らせください。
キャンセルの場合は、9/5(木)16:00までにご連絡ください。

 

8月のロバート・フランク生誕100周年関連イベントを終えて

8月のロバート・フランク生誕100周年関連の2つのイベントを、盛況のうちに終了いたしました。

8/3(土)14:00~14:40のギャラリー・トーク「もう一度、写真の話をしないか」と、15:00~16:00のロバート・フランク作品プリント・ヴューイング(本展では非展示の作品)の様子をご紹介いたします。

ロバート・フランクと面会した折の様子を語る山地裕子学芸員(中央)と瀬戸正人副館長(右)。展示室内にて
ロバート・フランクと面会した折の様子を語る山地裕子学芸員(中央)と瀬戸正人副館長(右)

約50名の方が来場されました。展示室内にて
約50名の方が来場されました。

定員を超える参加をいただいたプリント・ヴューイング。作品解説は、山地裕子学芸員。当館会議室にて
定員を超える参加をいただいたプリント・ヴューイング。作品解説は、山地裕子学芸員

8/4(日)14:00~16:00には、キュレーターの太田菜穂子さん(左)と、本展ディレクターの小川潤子さん(右)によるトーク「ロバート・フランクからの手紙」を開催いたしました。当日は、フランクが太田さんに贈ったプリントと多数の手紙も、会場にて公開いたしました。

キュレーターの太田菜穂子さん(左)と、本展ディレクターの小川潤子さん(右)によるトーク「ロバート・フランクからの手紙」を開催。木々が青々と茂るガーデンテラスをバックに、当館エントランスにて

スピーカーの二人を上から見下ろした構図の写真。参加者側から見て左にはフランクから贈られた額入りの作品たち、右には直筆の手紙がテーブルいっぱいに並べられた

8/4(日)のイベントのために、ゲストの太田菜穂子さんが持参くださったもの。それは、友人である太田さんへの思いやりに満ち、素朴で美しいフランクからの数々のエアメールでした。そしてフランクがカナダの別荘で撮影し、太田さんにプレゼントしたというプリントには、ユーモアあふれる直筆のメッセージが。額までもがフランクのハンドメイドと知ったご来場の方々は、間近に見る本物の存在感と、フランクのあたたかくピュアな一面に触れ、さらに感激を深めた様子でした。

ロバート・フランクから太田菜穂子氏に宛てた手紙は50通以上。テーブルに並べて公開されたものをアップで撮影した写真
ロバート・フランクから太田菜穂子氏に宛てた手紙は50通以上。

テーブルを囲み、間近で手紙の数々を見る参加者の方々  テーブルを囲み、間近で手紙の数々を見る参加者の方々。今回、車いすを利用される方にもご参加いただきました
フランク直筆の手紙を間近にする貴重な機会となりました

本イベントにご来場くださったみなさま、誠にありがとうございました。
次回のイベントは、9/7(土)に開催いたします。

トーク「ロバート・フランクからの手紙」のもようを参加者側後列から撮影した写真

 

8/3(土)「もう一度、写真の話をしないか。」→ 終了瀬戸正人(副館長)×山地裕子(当館学芸員)ギャラリー・トーク
司会:小川潤子(本展ディレクター)
2019年、作家本人と会いロバート・フランク展を構成した学芸員が語る

    • 第一部:14:00〜14:40 @展示室 / 予約不要
    • 第二部:プリント・ヴューイング(当館蔵のロバート・フランクの初期作品15点など)
      15:00〜16:00 @会議室 / 要予約:先着20人

 

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日時、参加人数、代表者のお名前と連絡先メールをお知らせください。
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8/4(日)
「ロバート・フランクからの手紙」→ 終了
太田菜穂子(Klee Inc.代表)
https://www.klee.co.jp/statement/#biography
司会:小川潤子(本展ディレクター)

フランクと50通を超える手紙を往復した太田氏が人間フランクを語る。
7/21(日)まで、氏のキュレーションによる「WONDER Mt. FUJI」展を東京都写真美術館で開催。

  • 第一部 14:00~15:00 トーク「ロバート・フランクからの手紙」
    @ガーデン(雨天の場合展示室)/ 予約不要
  • 第二部 15:15~16:00 フランク氏が太田氏に宛てた手紙と当館収蔵作品数点を公開
    @会議室 / 予約不要

 

イベント案内のチラシは、こちらから閲覧・ダウンロードできます。(A4両面カラー・PDFファイル)
オレンジのボタンリンクより、ブラウザの保存機能を利用してダウンロードしてください。

ロバート・フランク100周年記念展 <イベントチラシ>

 

みなさまのご参加を、心よりお待ちしております。

 

外観バナー。正面入り口側、ガラス張りの吹き抜けに、縦に細長いバナーが「K*MoPA」と今回の企画展の名前の計2本掛かっている様子。

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